植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter397
ヒコビアミニレター No. 397 (2012年2月3日)
2012年1月22日の観察会は,広島市西区鈴ヶ峰で行われた.天気は晴.参加者は48名.9時30分にJR新井口駅に集合.麓の井口の団地内の公園で,本日のコースなどの説明があった.井口は昭和30年代まではほとんど埋立てされておらず,国道2号線の南側はすぐ海であった.現在は埋立てにより海岸線が1 kmほど遠くなっている.鈴ヶ峰も現在のような団地がなく畑と山林であった.1960年台後半に山火事があり,南側斜面が焼失した.豊原先生が当時,この山火事跡地の植生を調査されたことを話された.現在では鈴ケ峰は憩いの森として整備されている.登山口の井口台中学付近でハマハナヤスリが生育していた.登山路に沿ってキョウチクトウやハナツクバネウツギ,イチョウ,スイセン,マテバシイ,マルバシャリンバイ,イロハモミジ,ハクチョウゲ,ヒラドツツジ,マルバイヌツゲなど多数の樹木や草本類が植えられている.砂防緑化のためのオオバヤシャブシやヒメヤシャブシも多い.コナラやアラカシ,クロキ,タブノキなどを見る.逸出したトウネズミモチも見られた.林床にはオオイタチシダやベニシダ,ビロードイチゴ,ナガバジャノヒゲ,ヒメヤブラン,テイカカズラなどが見られ,ホルトノキの幼木も1本見つかった.ケウバメガシが植栽されている東側の山頂(312 m)で昼食.午後は西側の山頂を目指す.尾根筋のルートで北側斜面は山火事の影響を受けていない範囲である.リョウブやソヨゴ,ミヤジマママコナ,ネジキ,アカマツ,トダシバ,クロモジ,ネズ,アオハダ,シュンランなどを見る.アカマツはほとんど見られない.マツ枯れの影響と思われる.西側の山頂(320 m)ではミズメがあった.ここから美鈴が丘や佐伯区の薬師が丘,観音台などの団地が見える.これらの団地は主に昭和50年代に開発されたため,工事前の環境アセスメント調査がなく,当時の生物相の記録が残されていない.今となっては残念なことである.東側の山頂に戻り,鈴が峰町へのルートで下山した.途中,「鈴ケ峰」と書かれた大きな石碑が倒れていた.1971年に登ったとき,この石碑を見た記憶がある.当時,この石碑より上には,これより背の高い樹木は見られなかったように記憶している.麓の公園で15時すぎに解散した.
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