東広島キャンパスのどんぐりのなる樹

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東広島キャンパスのどんぐりのなる樹

 「どんぐり」を作る植物の仲間をブナ科 Fagaceaeと言います.どんぐりは,ブナ科植物の果実で,どんぐり果[殻斗果(かくとか)や堅果(けんか)とも]と呼ばれます.いわゆるどんぐりの帽子になる殻斗(かくと)やクリで見られる毬(いが)と呼ばれる器官で果実が包まれるのがブナ科の特徴のひとつです.

 広島県内から報告されているブナ科の植物は約20種です.東広島キャンパス内には,自生・植栽を含め19種程度の樹が生育しています.

どんぐりや葉の写真

 キャンパス内でどんぐりが多く実る11種類の樹を紹介します.写真をクリックすると拡大します.

コナラ(自生・植栽)

広島県内に広く分布(しかし,宮島には分布していない).殻斗はうろこ状.葉やどんぐりの変異が大きく,他種との見分けが難しいことがあります.

ナラガシワ(植栽)

東広島植物園樹木園に植栽されています.葉には大きな鋸歯があり,葉柄が長い.殻斗はうろこ状で深くやや厚め.

クヌギ(植栽)

広島県内では,類似種のアベマキの方が多く見られます.樹皮と葉の裏側で識別します.殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です.

アベマキ(自生)

クヌギとよく似ていて混同されますが,樹皮や葉の裏側の毛を観察すると識別できます(アベマキは成長するとコルク状の樹皮になります).殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です.

ウバメガシ(植栽)

広島県内では,沿岸部や島しょ部で見られます.殻斗はうろこ状でやや薄く黄褐色の毛が密生.堅果の花柱の周りに毛があります.街路樹によく利用されています.備長炭の素材に使われるのは本種です.

シラカシ(植栽)

広島県の中部に分布.殻斗が輪状.卵形の堅果に縦筋が現れ熟します.「理学部・理学研究科の樹」に指定されています.理学部周辺に多く植栽されています.

アラカシ(自生・植栽)

構内に植栽されている他,ががら山など周辺の山に自生しています.殻斗が輪状.堅果は花柱よりがふくらみ縦筋が現れ熟します.

ウラジロガシ(植栽)

広島県の中部から北部の,主として渓谷に分布し,沿岸部や島嶼部にも稀にあります.殻斗が輪状で薄く短毛が密生.

マテバシイ(植栽)

広島県に自生はしませんが,街路樹などによく利用されています.どんぐりが大きく工芸品の加工に使われます.殻斗はうろこ状で浅い皿状.堅果は円柱に近い長卵形.

スダジイ(植栽)

広島県内の沿岸部・島しょ部に稀に逸出しています.民家や街路樹に植栽されるのは,広島県本来の自生のツブラジイ(コジイ)よりスダジイの方が多いです.堅果は丸いしずく形.殻斗は熟すと裂けます.

クリ(植栽)

県内に広く分布し,中国山地ではしばしば大木になります.ブナ林域の二次林であるクリ-コナラ群集を形成します.沿岸部のアカマツ林にも多いです.

似たものの比較

  • アベマキ・クヌギ・クリの鋸歯と葉脈の比較.クリックして拡大.
鋸歯と葉脈の比較.左から,アベマキクヌギクリ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)

生育中の樹

まだどんぐりは実りませんが,東広島植物園などで生育中の樹を紹介します.

ミズナラ

東広島植物園で低木が生育中(1996年広島県臥竜山産).

カシワ

東広島植物園で苗が生育中.2017年広島県東広島市志和町内産.

アカガシ

東広島植物園で低木が生育中.

ツクバネガシ

東広島植物園で苗が生育中.どんぐりも採取して育成中です(2020年採取).

イチイガシ

国際広場で低木が生育中.広島県内でも社叢林にまれに植栽されています.広島県の真の自生は呉市に1か所のみとされています.どんぐりを採取して育成中です(2020年採取).

オキナワウラジロガシ

奄美と琉球に分布.東広島植物園大温室で生育中.日本最大級のどんぐりが実る樹ですがまだどんぐりは実ったことがないです.

シリブカガシ

ツブラジイ(コジイ)

生物生産学部で1本生育中.東広島植物園には2004年広島県呉市蒲刈町(上蒲刈島)産の鉢植えの低木があります.どんぐりも採取して育成中です(2020年採取).

文献(引用)

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