コバノミツバツツジ
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コバノミツバツツジ Rhododendron reticulatum D.Don ex G.Don
シノニム
その他
- Rhododendron reticulatum D.Don[広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)で採用.]
分類
維管束植物門 Tracheophyta > 種子植物亜門 Spermatophytina > 被子植物上綱 Angiospermae > モクレン綱(双子葉植物綱) Magnoliopsida > キク上目 Asteranae > ツツジ目 Ericales > ツツジ科 Ericaceae > ツツジ属 Rhododendron
旧分類
種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 双子葉植物綱 Dicotyledoneae > ツツジ科 Ericaceae > ツツジ属 Rhododendron
解説
- アカマツ林の林床などで多く見られるツツジ科の落葉低木.
- 春,新芽が出る寸前に開花し,花が終わると葉が展開する.
- 近年,広島県内では,アカマツ林が放置されて遷移が進行した結果,コバノミツバツツジが見られなくなった場所が少なくない.適度な森林施行を行うことで,開花が見られる.
- Nakai(1926)はアラゲミツバツツジ(var. ciliatum Nakai)の新変種の記載に際し,宮島での早田文蔵の標本を引用している.この変種の基準産地は山口市氷上である.
- 広島県のものはアラゲミツバツツジRhododendron reticulatum D.Don ex G.Don f. ciliatum (Nakai) Sugim.とするのが妥当とする意見もあるが,区別が困難なものが多い.
- 高田(1981)によれば,両者の分布域は岡山県東部を境界として,西にアラゲミツバツツジが分布している.しかし,Yamazaki(1996)は両者を明瞭に区分することは困難としている.中井・小泉(1922)は「安藝宮島」と産地を挙げている.
- 土井(1983)はシロバナコバノミツバツツジを報告しており,安浦町グリーンピアでも生育を確認している.
- 南谷ほか(2019)は広島県のものはすべてアラゲコバノミツバツツジ(アラゲミツバツツジ)R. reticulatum subsp. ciliatum (Nakai) Minamitaniとしている。
花期
- 4月中旬から5月中旬
開花した個体(広島県廿日市市宮島町, 2008年4月11日,撮影: H. Tsubota) | 花(広島県廿日市市宮島町, 2008年4月11日,撮影: H. Tsubota) |
花(広島県廿日市市宮島町, 2008年4月11日,撮影: H. Tsubota) | 花(広島県廿日市市宮島町, 2008年4月11日,撮影: H. Tsubota) |
花(広島県, 2005年5月15日,撮影: 濱中) |
分布・産地・天然記念物
分布
- 広島県では,島嶼部から中国山地まで広く分布し,アカマツ-コバノミツバツツジ群集の標徴種として,とくに花崗岩地帯に多いが,帝釈峡などの石灰岩地帯にもよく生育している.
産地
天然記念物
標本
- 大野町中津岡川(yy-12046),吉和村中津谷(yw-4450),三段峡(yw-5042),佐伯町栗栖(km-5170),極楽寺山(yw-6026),広島市鈴ケ峰(aw-1260),府中町尾長(hh-5142),熊野町石岳山(yw-10143),東広島市下三永(hh-6817),下蒲刈島(mt-8584),呉市二級峡(hh-6516),野呂山(mt-16659),世羅西町黒川(sf-1294),久井町江木(sf-1907),竹原市賀茂神社(hh-6556),安芸津町三津(hh-6892),総領町御調谷(yw-7275),吉舎町安田(yw-7679),三良坂町灰塚(ts-4682),川尻町女猫島(yy-13011),福富町段原山(km-5264),加計町辺森(rn-10222),世羅町戸張(ns-1245),河内町竹林寺 (yk-6587),本郷町女王滝(yk-6614),御調町小猿(yk-6998),大和町蔵宗(sf-2229),内海町横島(sf-2742),三原市仏通寺(yw-1168),尾道市鳴滝山(sf-3983),因島(yk-2118),向島(yy-5683),生口島(sf-4624),甲奴町品の滝(ns-2246),神石郡三和町さんわの森(sf-7388),豊栄町天神嶽(mt-16112),上下町岳山(sf-206),新市町京の上山(sf-10018),神辺町東中条(sf-10279),東城町膝尾(sf-5633),神之瀬峡(mt-17990),油木町阿下川(hh-11510),口和町竹地谷(hh-6994),高野町高暮(hn-1704),帝釈峡(um-10988),庄原市葦嶽山(yy-11076),福山市矢川(sf-2480),府中市三郎丸(yk-2694)
慣用名・英名・広島県方言
慣用名
- コバミツ
英名
広島県方言
- アイギ
- アエギ
- アヤギ
- イチバンツツジ
- ツツキ
- ツツギ
- ツツジ
- ツツデ
- ツンツキボーロ
- デンバア
- デンバー
- ミヤンギヨ
- ミヤンジヨ
- ヤマツツジ
備考
- 環境庁コード: 41860
文献(出典)
- 中井・小泉(1922),堀川ほか(1959),関ほか(1975),山下(1977),土井(1983),関ほか(1994),渡辺ほか(1996),Yamazaki(1996),広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)
引用文献
- 土井美夫. 1983. 広島県植物目録. 148 pp. 博新館, 広島.
- 三次地方林業同志会. 1997. 広島県樹木方言集. -viii + 57 pp. 三次地方林業同志会, 三次.
- Nakai, T. 1926. Notulae ad plantas Japonicae et Koreae XXXII. Bot. Mag. Tokyo 40: 463-495.
- 中井猛之進・小泉源一.1922. 大日本樹木誌,巻之壱.511 pp. + 28 pp. 成美堂書店,東京.
- 高田研一.1981. ミツバツツジ類の地理的分布と生態.種生物学研究 V: 19-32.
- Yamazaki, T. 1996. A revision of genus Rhododendron in Japan, Taiwan, Korea and Sakhalin. 179 pp. Tsumura Lab., Tokyo.
- 南谷忠志・門田裕一・米倉浩司. 2019. 日本産ミツバツツジ類(ツツジ科)の分類(2). 植物研究雑誌 94(4): 195-241.
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