アブラボテ

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アブラボテの若い個体.春先は体色がまだ薄い.(広島県東広島市黒瀬川水系; 撮影: 鮫島裕貴, Apr. 18, 2021)
アブラボテ(オス)の標本(広島県安芸高田市高宮町 江の川水系産; 撮影: 平山琢朗, Aug. 1, 2012)
アブラボテ(メス)の標本(広島県三原市大和町 芦田川水系産; 撮影: 平山琢朗, Mar. 24, 2017)

アブラボテ Tanakia limbata

分類

動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 顎口上綱 Gnathostomata > 硬骨魚綱 Osteichthyes > 条鰭亜綱 Actinopterygii > コイ目 Cypriniformes > コイ科 Cyprinidae > タナゴ亜科 Acheilognathinae > アブラボテ属 Tanakia > アブラボテ Tanakia limbata

解説

  • 岐阜県以西の本州,四国の瀬戸内海側,九州北部に分布.
  • 広島県は分布のほぼ中央にあたり,太田川,三篠川,黒瀬川,沼田川,芦田川,江の川など県内各地に分布する.
  • 肩部に暗斑がなく,口にやや長い1対のひげがある.体長は6~11cm.
  • ヤリタナゴに似るがやや小型で体長4~7 cm,オスは体色が暗緑褐色,メスは産卵管が灰色であることで区別できる.
  • 産卵期は4月から8月で,産卵は1回きりではなく,熟卵となったものから10~20粒ずつ数回に分けて生きた二枚貝の鰓の中に産卵する.
  • 産卵後はオスが二枚貝の周りで縄張りを持ち,貝を守る.
  • 帝釈峡ではカワシンジュガイ,黒瀬川ではマツカサガイカタハガイの鰓に産卵し,その他の二枚貝には産卵せず,貝に対する選択性が顕著.
  • 産卵された卵は貝の中でふ化し,稚魚となって出てくる.

天然記念物・RDB

  • 環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2003):準絶滅危惧(NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2011):準絶滅危惧(NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2021):準絶滅危惧(NT)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

英名

広島県方言

  • にがぶな(全県)
  • ぼて(備北)
  • にがっちょ(三次・吉舎・帝釈・芸北)
  • にーがん(黒瀬川)

備考

参考文献

  • 比婆科学教育振興会(編). 1994. 広島県の淡水魚, 増補改訂版. 239 pp. 中国新聞社, 広島.
  • 中坊徹次(編). 2013. 日本産魚類検索 全種の同定, 3版. xlix + xxxii + xvi + 2428 pp. 東海大学出版会, 秦野.
  • 田口 哲. 2014. フィールドガイド 淡水魚識別図鑑 日本で見られる淡水魚の見分け方. 256 pp. 誠文堂新光社, 東京.

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