苔盤景

「苔盤景」の呼称は,園芸として苔の栽培・増殖をはかりながら苔庭作りに功績を残した故・大石鉄郎氏による考案である(大石 1981).

「苔盆景」,「苔盆栽」,「苔寄せ植え」,「苔鉢植え」,「苔箱植え」など類語があるが,これらの用語の定義はいまだなされていない.しかし,「苔盆栽」と「苔盤景」はほとんど同義に使われているようである.

大石(1981)はコケについての他の植栽様式を含めてつぎのように区別している.

  1. 盤景: コケと石,砂による色彩の妙を楽しむための造形物.
  2. 寄せ植え: コケと石,砂のほかマツやカエデ,ササ,シダなどの植物を加えた造形物.
  3. 鉢植え: コケのもつ形と緑を楽しむためのもので,コケだけを素焼きまたは釉薬鉢の植木鉢の浅鉢を用いて植え込んだもの.複数の種類を一緒に植えたものは「苔寄せ植え」,木製の箱に植えたものは「苔箱植え」と呼ばれる.
  4. 盆栽 カエデやマツなどの花木類が主体となり,コケがその下植えに使われているもの.

引用文献

  • 大石鉄郎. 1981. 苔盤景から苔庭まで コケづくり. Pp. 96 ひかりのくに, 大阪.

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