3.コケ植物の分類と生態

DNAの配列情報から考えられる陸上植物の系統関係

ツノゴケ類については,蘚類とヒカゲノカズラ類の間で分岐したというデータと,シャジクソウ類と苔類の間で分岐したというデータが示されているため,系統的な位置がわかっていません.

コケ植物の系統関係

形態学や古生物学で得られた知見をもとに考えると,コケ植物は最初の陸上植物の体制をよく残しています.

コケ植物と考えられる最古の化石は上部デボン紀から見つかっており,系統上は水中で生活する緑藻類とシダ植物などの陸上生活する維管束植物との間に位置すると考えられています.このため,コケ植物は植物界の両生類ともいわれます.

最近DNAなどの配列情報を使った分子系統学的研究が行われるようになり,コケ植物と他の植物との関係が明らかになって来ました.

最近の研究でも,コケ植物は緑藻類から陸上植物の祖先が現れてもっとも初期に分岐したと考えられる結果が得られています.ただし,コケ植物が単系統群かどうかは現在でもわかっておらず,研究が進められています.

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