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ヒコビアミニレターNo.343(2008年6月22日)
 
2008年6月22日の第468回植物観察会は広島市安佐南区の太田川左岸において小雨〜曇行の中行われた。アストラムラインの「西原駅」に10時に集合。朝まで雨が降っていたが30名の参加があった。西原駅から太田川に市街地を歩いているとハンゲショウがあった。本種は低湿地に生育する草本で,生育環境が激減していることから,広島県の準絶滅危惧種になっている。途中の古川は旧太田川の本流で,ここでは低水敷にもヤナギ類が多数生育している。この付近は太田川放水路ができるまでは,水害の多かった地域で,古い人家は1mほど高い土台上に建てられている。草刈の行われている高水敷にはネジバナの花が目立つ。草刈が不十分な場所ではシナダレスズメガヤが多い。この植物は道路法面の緑化のために導入されたアメリカ原産の植物で,河川中流部では砂の堆積がおこり,川原の植物の生育環境を破壊するとされている。河川敷にはイヌゴマ,カワラサイコなどの在来種も見られるが,セイヨウヒキヨモギ,ムシトリナデシコ,イヌコモチナデシコ,アレチハナガサ,ヤナギハナガサ,マツヨイグサの仲間などの外来植物が多い。低水敷にはヤ
ナギ類が多数生育しているが,この時期に判るのはアカメヤナギくらいである。シナサワグルミも大きく生育し,花穂をつけていた。また,シダ植物のクサソテツが見られた。本種は広島県ではそれほど多くない種である。あとで調べたところ,近年,太田川流域の安佐北区で農家が本種の生産(コゴミ)を行っているとのこと。農協を通じて本種の苗が配られているようである。従って,今回確認されたクサソテツは洪水時に逸出した可能性が高い。高瀬堰付近にはウマノスズクサがあった。ここから市街地にもどりJR可部線の「梅林駅」にて解散した。(Y. Yoshino記)