コケ図鑑 -蘚苔類写真集-
Leucobryum juniperoideum (Brid.) Mull.Hal. ホソバオキナゴケ
ノート
- ユーラシアに広く分布し,日本では北海道〜琉球,小笠原に分布.
- 茎は高さ2–3 cm,葉にはあまり光沢がなく,乾いても縮れない.葉基部の横断面で中央部がくびれ,その部分は2細胞の厚さがある.
- 人家の庭から山地の針葉樹の樹幹基部,腐植土上に丸い蘚座をつくる.ごくふつう種である.
- 苔庭などでよく利用され,苔庭で有名な京都西芳寺でもっとも目立つ美しいコケの本体はこの種である.
- サツキの栽培に用いられる“やまごけ”は本種である.
生態写真
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人家の築山の岩上に旺盛に生育.(写真:広島県久井町.8月10日)
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コロニー.(写真:広島県三段峡.8月23日)
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完成した胞子体.(写真:高知県鏡村畑川.1月15日)
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- ホソバオキナゴケLeucobryum juniperoideum (Brid.) Mull.Hal.の葉のかたち
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葉を1枚茎からそっとはずしたところ.背中側から見たところ.細長い葉は基部がやや広くなり,中ほどから上部は管状にくぼんでいる.先端は短い針状にとがっている.
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ホソバオキナゴケの葉はこんな仕組みになっている.葉は大型の透明な細胞(死んでしまっていて,中は空洞になっている)の層が2層あり,それに挟み込まれるように緑色の小さな細胞(生きている)がある.透明な細胞には大きな穴があいていて,水が出入りし,ここに水を蓄えることができる.天然のスポンジ?葉3-4 mmの葉の中ほどよりやや上の部分をカミソリ刃で横断切片をつくり,顕微鏡で観察すると上の写真のような造形美に接することができる.ミズゴケの仲間も似た構造をもっていて,水をうまく利用する構造になっている.
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Type specimens in HIRO
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