「紅葉と黄葉」の版間の差分

提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動
(同じ利用者による、間の1版が非表示)
38行目: 38行目:
  
 
*紫外線からの保護,糖ができるの2つの説あり
 
*紫外線からの保護,糖ができるの2つの説あり
*いずれにしても,光が当たって赤色の色素ができる
+
**日差しが強いと赤くなる
*日陰になる場所の葉は紅葉が進みにくく,黄色や緑色
+
**日陰はあまり赤くならない.日陰になる場所の葉は紅葉が進みにくく,黄色や緑色
 +
**気温が下がってくると,凍らないように糖類をつくる
 +
**いずれにしても,光が当たって赤色の色素ができる
  
 
==樹種による紅葉・黄葉の時期の違い==
 
==樹種による紅葉・黄葉の時期の違い==

2021年11月23日 (火) 10:04時点における版

広島大学 > デジタル自然史博物館 > 宮島

モミジバフウ(広島県廿日市市宮島町; 撮影: 内田慎治, Nov. 7, 2016)
モミジバフウ(広島県廿日市市宮島町; 撮影: 内田慎治, Oct. 31, 2017)

紅葉と黄葉

秋になると木々は冬支度をはじめます.落葉樹は,最終的に落葉させて,冬に備えます.落葉する直前に紅葉あるいは黄葉することが知られています.

紅葉・黄葉のしくみ

  • 赤くなるものを紅葉,黄色くなるものを黄葉と書き分ける場合がある

黄葉

  • 黄葉する前は,緑の色素と黄色の色素が存在 -> 緑の色素がなくなり,黄色の色素だけ残る -> 黄色にみえる
  • イチョウなど

紅葉

  • 黄葉する前は,緑の色素と黄色の色素が存在 -> 緑の色素がなくなり,黄色の色素だけ残る -> さらに,赤色の色素ができる -> 赤色にみえる
  • モミジなど

解説

  • 植物には大きく分けて緑色と黄色の色素が存在する.
  • 緑色の色素の代表がクロロフィル,黄色の色素の代表がカロテン
  • 緑色の色素の方が分解しやすいため,黄葉する植物では黄色の色素だけが残って,葉が黄色く見える.例)イチョウなど
  • 紅葉する植物では,もともと少なかった赤色の色素が作られる.この過程で糖類が必要になる.糖類は光合成産物であるため,その量は葉の状態に依存する.また,葉の基部の離層の発達は気温に依存する.結果的に,残った糖類の量が多いほど色素が作られやすく,紅葉が鮮やかになる.
  • 葉の状態は,秋の雨量だけでなく,夏や春の天候にも依存している.
  • 赤くなるものを紅葉,黄色くなるものを黄葉という漢字をあてますが,いずれも読みは「こうよう」です.
  • 紅葉と黄葉はその仕組みが異なります.
  • 紅葉の場合,赤色の色素がどの程度できるかによって,赤色から橙色,黄色までさまざまな色になります.
    • 一般的に,紅葉の色づきには,昼夜の寒暖差や天候が影響するとされています.しかしながら,それ以外の条件も大きく影響を与えています.
    • 例えば,樹木の健康状態や日当たり,葉の生育状況,春や夏の天候などがあげられます.
    • とくに赤色の色素の素になる物質の量やそれを反応させて赤くする糖類の量に影響を与えるような,例えば夏の小雨による極端な乾燥,高温による葉の光合成障害,踏みつけによる根の障害などが影響を与えます.これらの多くの要因が秋になって紅葉の状態の良し悪しを決めるのです.
  • 紫外線からの保護,糖ができるの2つの説あり
    • 日差しが強いと赤くなる
    • 日陰はあまり赤くならない.日陰になる場所の葉は紅葉が進みにくく,黄色や緑色
    • 気温が下がってくると,凍らないように糖類をつくる
    • いずれにしても,光が当たって赤色の色素ができる

樹種による紅葉・黄葉の時期の違い

落葉

葉が老化すると新しいものに置きかえられ,古い葉は落とされます.また,厳しい環境下では,葉の中の窒素分や糖類を回収して,葉が落ちます.このような現象を落葉とよんでいます.

常緑樹と落葉樹

冬や乾期など厳しい環境条件下では,葉を落としてその期間をしのぎます.落葉樹は厳しい環境条件の期間に一度に葉を落とし,1年間で葉をつけていない時期がある樹木です.一方常緑樹は,葉をつけない期間がない樹木です.常緑樹は落葉をしないわけではなく,古くなった葉を新しいものに交換する際に落葉させます.また,常緑樹でも,すべての葉が落ちる分けではありませんが,特定の時期に多くの葉を落とす樹種もあります.例えば,クスノキは春新芽を出す頃,一斉に落葉します.


広島大学 / デジタル自然史博物館 にもどる