竈
広島大学 > 広島大学デジタル博物館 > 文化財博物館 > 埋蔵文化財豆辞典
竈(かまど)
- 周囲を壁で囲み、正面に焚き口を設け、天井部に煮炊き用の鍋,釜などをかける穴を設けた厨房施設である。
- 竈の起源については、弥生時代の終わり頃に日本で独自に成立したとする説、弥生時代の終わり頃に朝鮮半島から伝来したとする説、古墳時代の中頃に朝鮮半島から須恵器などの技術とともに伝来したとするなどがあり、定説はない。
- しかし、古墳時代後期には関東地方以西では広く認められるようになり、多くの竪穴住居の壁に接して竈が築かれるようになる。古墳時代の竈は焚き口の両側に石を立て、壁を粘土で築くものが一般的で、壁の芯に土器や石などを利用しているものも認められる。また、可動式の竈も古墳時代中頃から見られ、中世まで使用されている。
- 古代以降、西日本では掘立柱建物が次第に住居として利用されるようになるが、掘立柱建物跡で竈と思われる遺構は基本的には伴っていない。炉や可動式の竈が利用されたものと推定される。中世では、絵巻物に現在見られるような竈が描かれているが、遺構として確認された例はない。
- 広島大学東広島キャンパス内では、山中池南遺跡第2地点(写真)平木池遺跡で古墳時代後期の竈が発見されている。1号住居跡の北側の壁に作りつけられたもので、壁の部分にほとんど粘土を利用せず、板石で築かれた珍しい例である。煙突は住居の外にあり、斜面を掘り抜いて作られている。
東広島市山中池南遺跡第2地点1号住居跡の竈(古墳時代後期)