「池田・宗像・佐藤・三浦・橋詰・友田・若林・桑原・清水・大川 2020」の版間の差分

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===Keywords===
 
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'''Andrias japonicus''', dam lake, Japanese giant salamander, larval growth, population of small individuals,
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''Andrias japonicus'', dam lake, Japanese giant salamander, larval growth, population of small individuals,
'''Potamogeton distinctus''', wetland
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''Potamogeton distinctus'', wetland
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==要旨==
 
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広島県廿日市市飯山のダム上流の湿地を流れる小河川に生息するオオサンショウウオ''Andrias japonicus''の個体群について報告する.本産地は標高が 775–795 m あり,本種の生息地で最も標高の高い部類に入る.飯山貯水池は1932 年より水力発電ダム湖として建造され,その上流は約90年間ダムの下流域と隔離されている.水位の低下した2001年以降は長年人の手の加わっていない湿地となっている.2017–2020年ののべ17日間に渡る調査で,0歳から1歳,2歳と考えられる幼生が多数見つかり,全長 210 mm の幼体や326–680 mmの成体,繁殖巣穴も見つかった.これは独立した繁殖個体群として世代交代している証拠でもある.この個体群からは全長 700 mm.を越える個体が見つかっておらず,全長が小さい傾向がある.また,0 歳幼生の全長と確認日の関係を見ると,全長46mm で離散した0歳幼生が,6月から8月にかけて急成長して75 mmに達し,10月以降はほとんど成長しないで翌春を迎えることを示唆していた.幼生は主にダム湖であった当時の名残の水草,ヒルムシロ''Potamogeton distinctus''の中から見つかる傾向がある点も特異な点である.ダム湖へ直接流入する源流域の小河川で本種が持続的に繁殖している例として本産地と個体群は稀少な存在であると言える.
 
広島県廿日市市飯山のダム上流の湿地を流れる小河川に生息するオオサンショウウオ''Andrias japonicus''の個体群について報告する.本産地は標高が 775–795 m あり,本種の生息地で最も標高の高い部類に入る.飯山貯水池は1932 年より水力発電ダム湖として建造され,その上流は約90年間ダムの下流域と隔離されている.水位の低下した2001年以降は長年人の手の加わっていない湿地となっている.2017–2020年ののべ17日間に渡る調査で,0歳から1歳,2歳と考えられる幼生が多数見つかり,全長 210 mm の幼体や326–680 mmの成体,繁殖巣穴も見つかった.これは独立した繁殖個体群として世代交代している証拠でもある.この個体群からは全長 700 mm.を越える個体が見つかっておらず,全長が小さい傾向がある.また,0 歳幼生の全長と確認日の関係を見ると,全長46mm で離散した0歳幼生が,6月から8月にかけて急成長して75 mmに達し,10月以降はほとんど成長しないで翌春を迎えることを示唆していた.幼生は主にダム湖であった当時の名残の水草,ヒルムシロ''Potamogeton distinctus''の中から見つかる傾向がある点も特異な点である.ダム湖へ直接流入する源流域の小河川で本種が持続的に繁殖している例として本産地と個体群は稀少な存在であると言える.

2021年4月13日 (火) 21:23時点における最新版

池田ほか(2020)

文献(出典)

  • 池田誠慈・宗像優生・佐藤 賢・三浦 昂・橋詰 宰・友田 浄・若林なつき・桑原一司・清水則雄・大川博志. 2020. ダム上流の湿地を流れる小河川に生息するオオサンショウウオ個体群―小型個体群と野外における幼生の成長に関する考察―. 広島大学総合博物館研究報告 12: 1-18. [Ikeda, S., Munakata, M., Satou, K., Miura, K., Hashizume, T., Tomota, J., Wakabayashi, N., Kuwabara, K., Shimizu, N. & Okawa, H. 2020. A population of the Japanese giant salamander Andrias japonicus (Amphibia: Caudata) inhabiting a small stream flowing through a wetland upstream of a dam: A study on the population of small individuals and larval growth in the field. Bulletin of the Hiroshima University Museum 12: 1-18.

概略

  • ダムに直接流入する小河川で小型のオオサンショウウオが繁殖していることを報告し,多数見つかる幼生の全長から野外での幼生の成長を推測した.

ノート

Abstract

Japanese giant salamanders Andrias japonicus inhabit the Mukunashi River around Higashi-Hiroshima City in Hiroshima Prefecture, southwestern Japan; researchers and local people have collaborated to investigate the species’behavior, particularly its oviposition and the movement of larvae after leaving the nest. In this research we focused on leaf litter in the stream as habitat in which salamander larvae and the aquatic insects which are its critical food cohabit. We studied the flora of the riparian forest to identify the species of leaf litter in the stream among which salamander larvae were found. Leaf litter and branches belonging to 29 species of vascular plants were identified, and most leaves were from the deciduous oak Quercus serrata and the conifer Cryptomeria japonica. It is suggested that the surrounding flora has an important influence on the survival of Japanese giant salamander larvae that have left the nest.

Keywords

Andrias japonicus, dam lake, Japanese giant salamander, larval growth, population of small individuals, Potamogeton distinctus, wetland

要旨

広島県廿日市市飯山のダム上流の湿地を流れる小河川に生息するオオサンショウウオAndrias japonicusの個体群について報告する.本産地は標高が 775–795 m あり,本種の生息地で最も標高の高い部類に入る.飯山貯水池は1932 年より水力発電ダム湖として建造され,その上流は約90年間ダムの下流域と隔離されている.水位の低下した2001年以降は長年人の手の加わっていない湿地となっている.2017–2020年ののべ17日間に渡る調査で,0歳から1歳,2歳と考えられる幼生が多数見つかり,全長 210 mm の幼体や326–680 mmの成体,繁殖巣穴も見つかった.これは独立した繁殖個体群として世代交代している証拠でもある.この個体群からは全長 700 mm.を越える個体が見つかっておらず,全長が小さい傾向がある.また,0 歳幼生の全長と確認日の関係を見ると,全長46mm で離散した0歳幼生が,6月から8月にかけて急成長して75 mmに達し,10月以降はほとんど成長しないで翌春を迎えることを示唆していた.幼生は主にダム湖であった当時の名残の水草,ヒルムシロPotamogeton distinctusの中から見つかる傾向がある点も特異な点である.ダム湖へ直接流入する源流域の小河川で本種が持続的に繁殖している例として本産地と個体群は稀少な存在であると言える.

キーワード

オオサンショウウオ,小型個体群,湿地,ダム,ヒルムシロ,幼生の成長,Andrias japonicusPotamogeton distinctus

DOI