植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter486
ヒコビアミニレターNo.486(2018年8月19日)
2018年8月19日の観察会は,安芸太田町戸河内の三段峡で行われた.天気は晴れ.参加者は47名.10時に三段峡の入口に集合.はじめに吉野が配布資料を元に,三段峡の特別名勝の指定や樽床ダム建設によって生じた環境問題などについて説明する.石橋・豊原両先生が研究し確認された植物群落の下降現象や八幡高原におけるたたら製鉄についても概説した.三段峡は主に花崗岩類からなり,渓谷の岩肌は明るい.遊歩道はよく整備されているが,谷筋の一部に土石流の跡が見られた.入口のスギ植林地にはソヨゴ,ヤブコウジ,コアカソ,コバノミツバツツジ,キジノオシダなど見慣れた植物が多い.壁面にイワタバコ(花)が多く見られた.優占種としてはツガやウラジロガシが多く,トチノキやケヤキ,サワグルミなどの渓畔林構成種も見られる.林内にはイヌガヤ,ヤブツバキ,サカキ,ハクウンボク,ヤマアジサイ,コアジサイ,バイカツツジ,ヤマグルマ,ユズリハ,ハイイヌガヤ(果実),コカンスゲ,オクノカンスゲ,ササノハスゲなど多くの植物を見る.シダ植物はタニイヌワラビ,イノデモドキ,イノデ,トウゲシバ,ベニシダ,ミヤマイタチシダ,リョウメンシダ,ミゾシダ,ジュウモンジシダ,オニカナワラビ,コウヤコケシノブなどを見る.遊歩道では樹木類としてはクマシデ,ウリノキ,ウワミズザクラ,ダンコウバイ,ハネミイヌエンジュ,シロダモ,チドリノキ,アワブキ,ミヤマハハソ,ウスゲクロモジ(果実),ムラサキマユミ,サワダツなどを,草本類としてシライトソウ(果実),ツルリンドウ(花),ナツトウダイ(花),エイザンスミレ,アケボノシュスラン,ツルニガクサ(花),ヒメキンミズヒキ(花)(現地ではキンミズヒキとした),ヤブハギ?(花),ハンショウヅル(果実),モミジガサ(花),ハエドクソウ(果実),クモキリソウ,オオカモメヅルなど多くの種を見る.岩場や黒淵付近ではヒメコマツ,ゲンカイツツジ(果実),ダイセンミツバツツジ,ホツツジ,ベニドウダン(果実),ナンキンナナカマド,オオイワカガミなど岩峰植生を代表する種が見られた.自生と考えられるヒノキも見られた.吊り橋を渡り黒淵で昼食.河原で金糞石(たたら製鉄の時に出た残渣)を探す.八幡高原から流され小さくなった石をいくつか見つけた.黒淵の船着き場にはキシツツジが多く見られ,上村恭子さんによってヒメヘビイチゴが確認されている.帰路,川側を見ていくとメグスリノキやヨコグラノキ(?)を確認した.また樹上にシノブ,サジラン,クラガリシダなどの着生植物を確認できた.
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