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=ヒコビアミニレターNo.482(2018年4月24日)=
 
=ヒコビアミニレターNo.482(2018年4月24日)=
 2018年4月15日の第606回植物観察会は島根県太田市の三瓶山で行われた.男三瓶山北方に位置する三瓶小豆原埋没林駐車場に10時集合.小雨の降る天候であったが,参加者は  名.国指定天然記念物小豆原埋没林の発見は1983年に行われた水田工事の時とされる.三瓶山の噴火は10万年前から始まり,その後7~8回噴火活動があったとされる.4千年前に最近の噴火があり,その時に噴出した火山灰が堆積し,小豆原のスギ原始林は土石流や火砕流の直撃にも耐えて木々は倒されずに埋没したという.埋没木の大半は[[スギ]]であり,最大胸高直径2.5 m,最長木12.5 m,最大年輪数が636本ということである.スギ以外の樹木として[[ケヤキ]],[[トチノキ]],[[ムクロジ]],カシ類がある.実物を見ることにより,縄文時代における三瓶山北麓谷間の森林植生がどの様であったかを垣間見ることができて感動した.埋没木のある地下から地上に出て周りを見渡すと,[[アカマツ]],[[ヒノキ]],[[スギ]],[[トチノキ]],[[スダジイ]],[[ウラジロガシ]],[[ヒサカキ]],[[ネズミモチ]]などがあり,カシ類というのは[[ウラジロガシ]]ではないのかなとも思えた.駐車場の周りでは,[[トキワイカリソウ]],[[ショウジョウバカマ]],[[タチツボスミレ]]などいろいろな花を見ることができた.その後,車で男三瓶山北斜面にある三瓶山姫逃池コース登山口駐車場に移動して昼食をとる.近くには三瓶自然観があり,その周りの草原では[[オキナグサ]]が保護され,増殖されており,ちょうど開花していて沢山見ることができた.海抜高600 m前後の山麓部緩斜面にはアカマツ林が広く見られ,600 mよりも上部の急傾斜山腹部には[[アカシデ]]や[[イヌシデ]]などのシデ林が成立している.普通,アカマツ林には,低木層にツツジがあるはずと思って探したが見つからなかった.ここのアカマツ林の種組成はちょっと変わっており,アカマツ群落よりもシデ群落の方に似ているようである.アカマツ林に出現する植物を列記してみると次のようである.[[シロダモ]],[[ヒサカキ]],[[イヌツゲ]],[[ネズミモチ]],[[アオキ]],[[ソヨゴ]],[[ハイイヌガヤ]],[[ツルマサキ]](以上,常緑樹),[[クロモジ]],[[リョウブ]],[[ウラジロノキ]],[[アカシデ]],[[イヌシデ]],[[クマシデ]],[[ウリハダカエデ]],[[クマノミズキ,[[クロウメモドキ,[[フサザクラ,[[ニワトコ,[[ゴマキ,[[ハルニレ,[[ヨグソミネバリ,[[コシアブラ,[[ウグイスカグラ,[[ミヤマガマズミ,[[ヤマザクラ]](以上,落葉樹),[[イワガラミ]],[[ゴトウヅル]],[[ミヤマカタバミ]],[[エンレイソウ]],[[ノブキ]],[[リョウメンシダ]],[[スミレサイシン]],[[ヤマネコノメソウ]],[[ボタンネコノメソウ]],[[ツルリンドウ]],[[ツルカノコソウ]],[[オシダ]]など(以上,林床植物).
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 2018年4月15日の第606回植物観察会は島根県太田市の三瓶山で行われた.男三瓶山北方に位置する三瓶小豆原埋没林駐車場に10時集合.小雨の降る天候であったが,参加者は  名.国指定天然記念物小豆原埋没林の発見は1983年に行われた水田工事の時とされる.三瓶山の噴火は10万年前から始まり,その後7~8回噴火活動があったとされる.4千年前に最近の噴火があり,その時に噴出した火山灰が堆積し,小豆原のスギ原始林は土石流や火砕流の直撃にも耐えて木々は倒されずに埋没したという.埋没木の大半は[[スギ]]であり,最大胸高直径2.5 m,最長木12.5 m,最大年輪数が636本ということである.スギ以外の樹木として[[ケヤキ]],[[トチノキ]],[[ムクロジ]],カシ類がある.実物を見ることにより,縄文時代における三瓶山北麓谷間の森林植生がどの様であったかを垣間見ることができて感動した.埋没木のある地下から地上に出て周りを見渡すと,[[アカマツ]],[[ヒノキ]],[[スギ]],[[トチノキ]],[[スダジイ]],[[ウラジロガシ]],[[ヒサカキ]],[[ネズミモチ]]などがあり,カシ類というのは[[ウラジロガシ]]ではないのかなとも思えた.駐車場の周りでは,[[トキワイカリソウ]],[[ショウジョウバカマ]],[[タチツボスミレ]]などいろいろな花を見ることができた.その後,車で男三瓶山北斜面にある三瓶山姫逃池コース登山口駐車場に移動して昼食をとる.近くには三瓶自然観があり,その周りの草原では[[オキナグサ]]が保護され,増殖されており,ちょうど開花していて沢山見ることができた.海抜高600 m前後の山麓部緩斜面にはアカマツ林が広く見られ,600 mよりも上部の急傾斜山腹部には[[アカシデ]]や[[イヌシデ]]などのシデ林が成立している.普通,アカマツ林には,低木層にツツジがあるはずと思って探したが見つからなかった.ここのアカマツ林の種組成はちょっと変わっており,アカマツ群落よりもシデ群落の方に似ているようである.アカマツ林に出現する植物を列記してみると次のようである.[[シロダモ]],[[ヒサカキ]],[[イヌツゲ]],[[ネズミモチ]],[[アオキ]],[[ソヨゴ]],[[ハイイヌガヤ]],[[ツルマサキ]](以上,常緑樹),[[クロモジ]],[[リョウブ]],[[ウラジロノキ]],[[アカシデ]],[[イヌシデ]],[[クマシデ]],[[ウリハダカエデ]],[[クマノミズキ]],[[クロウメモドキ]],[[フサザクラ]],[[ニワトコ]],[[ゴマキ]],[[ハルニレ]],[[ヨグソミネバリ]],[[コシアブラ]],[[ウグイスカグラ]],[[ミヤマガマズミ]],[[ヤマザクラ]](以上,落葉樹),[[イワガラミ]],[[ゴトウヅル]],[[ミヤマカタバミ]],[[エンレイソウ]],[[ノブキ]],[[リョウメンシダ]],[[スミレサイシン]],[[ヤマネコノメソウ]],[[ボタンネコノメソウ]],[[ツルリンドウ]],[[ツルカノコソウ]],[[オシダ]]など(以上,林床植物).
 
<div style="text-align:right">(G. Toyohara 記)</div>
 
<div style="text-align:right">(G. Toyohara 記)</div>
  

2018年5月11日 (金) 11:02時点における版

ヒコビアミニレターNo.482(2018年4月24日)

 2018年4月15日の第606回植物観察会は島根県太田市の三瓶山で行われた.男三瓶山北方に位置する三瓶小豆原埋没林駐車場に10時集合.小雨の降る天候であったが,参加者は  名.国指定天然記念物小豆原埋没林の発見は1983年に行われた水田工事の時とされる.三瓶山の噴火は10万年前から始まり,その後7~8回噴火活動があったとされる.4千年前に最近の噴火があり,その時に噴出した火山灰が堆積し,小豆原のスギ原始林は土石流や火砕流の直撃にも耐えて木々は倒されずに埋没したという.埋没木の大半はスギであり,最大胸高直径2.5 m,最長木12.5 m,最大年輪数が636本ということである.スギ以外の樹木としてケヤキトチノキムクロジ,カシ類がある.実物を見ることにより,縄文時代における三瓶山北麓谷間の森林植生がどの様であったかを垣間見ることができて感動した.埋没木のある地下から地上に出て周りを見渡すと,アカマツヒノキスギトチノキスダジイウラジロガシヒサカキネズミモチなどがあり,カシ類というのはウラジロガシではないのかなとも思えた.駐車場の周りでは,トキワイカリソウショウジョウバカマタチツボスミレなどいろいろな花を見ることができた.その後,車で男三瓶山北斜面にある三瓶山姫逃池コース登山口駐車場に移動して昼食をとる.近くには三瓶自然観があり,その周りの草原ではオキナグサが保護され,増殖されており,ちょうど開花していて沢山見ることができた.海抜高600 m前後の山麓部緩斜面にはアカマツ林が広く見られ,600 mよりも上部の急傾斜山腹部にはアカシデイヌシデなどのシデ林が成立している.普通,アカマツ林には,低木層にツツジがあるはずと思って探したが見つからなかった.ここのアカマツ林の種組成はちょっと変わっており,アカマツ群落よりもシデ群落の方に似ているようである.アカマツ林に出現する植物を列記してみると次のようである.シロダモヒサカキイヌツゲネズミモチアオキソヨゴハイイヌガヤツルマサキ(以上,常緑樹),クロモジリョウブウラジロノキアカシデイヌシデクマシデウリハダカエデクマノミズキクロウメモドキフサザクラニワトコゴマキハルニレヨグソミネバリコシアブラウグイスカグラミヤマガマズミヤマザクラ(以上,落葉樹),イワガラミゴトウヅルミヤマカタバミエンレイソウノブキリョウメンシダスミレサイシンヤマネコノメソウボタンネコノメソウツルリンドウツルカノコソウオシダなど(以上,林床植物).

(G. Toyohara 記)



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(T. Seki 記)