植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter475
ヒコビアミニレターNo.475(2017年10月23日)
2017年10月15日の観察会は,広島県廿日市市宮島町の桟橋から包ケ浦で行われた.天気は雨.参加者は31名.旧陸軍道路沿いにシカが食べないアセビ,イヌガシ,シキミ,トラノオジソ(花)などが法面に目立つ.ミミズバイ,モミ,シロダモ,ヤマモモ,アラカシ,カナメモチなどの常緑の間にウリハダカエデ,ネジキ,タマミズキなどを見る.林縁部にはホウロクイチゴやコシダ,ウラジロなどとともに,シカの食害を受けたカンコノキやヒメヤマツツジなども見られた.コバノヤブムラサキ(Callicarpa mollis Siebold et Zucc. var. ramosissima Nakai)が珍しい.杉之浦付近でサカキカズラの実を見る.空地にダンドボロギク,イワヒメワラビなどが目立つ.ススキはシカの口が届かない立地に僅かにみられた.公園でムクロジを,トンネル付近でナガバヤブマオやアカメガシワの大木を見る.トンネル出口でカギカズラのカギの様子を観察した.包ケ浦の海岸は人工的に作られたもので,ハマゴウがわずかに見られた.包ケ浦のロッジで昼食.食後は干潟に生育するシバナ(広島県:絶滅危惧Ⅰ類)を観察した.この生育地は宮島自然植物実験所の協力によってシカの食害を防ぐため,金網で覆われている.県内では宮島と安芸津にわずかに生育している.山口から参加された真崎久先生によると山口県でも山口湾と萩湾にわずかに生育しているとのことである.公園では食害を受けたカンコノキの様々な樹形を見た.ヤマモガシの生育地では関先生から本種の分類と植物地理の説明を受けた.本種の根の特性と生態学的な研究をしている大学院生の諸石さんにも説明をしていただいた.また,公園の奥の「悠久の森」として植栽されたクスノキは殆ど枯れていた.豊原先生からクスノキの生態学的特性と,植栽の失敗の要因についても説明を受けた.帰路は海沿いの道を通り,学校近くの金網にコバノヘクソカズラが生育しているのを確認した.
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