植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter474
ヒコビアミニレターNo.474(2017年9月27日)
2017年9月10日の第598回植物観察会は,庄原市東城町千鳥の姑蘇山(こそやま,標高 953.5 m)で行われた.天気は晴れ.参加者は45名.集合地は県指定天然記念物「千鳥別尺のヤマザクラ」訪問用の駐車場,東南方向に山頂の電波塔が見える.登山口までは約1.2 kmの舗装路,半ばまで急ぎ,標高650 mのスギ植林地から観察を始める,路傍のヒメキンミズヒキ・ヒカゲミツバ・ミズヒキ・チヂミザサ・アキチョウジ・マツカゼソウ・コアカソに花,ノブキ・キツネノボタン・ダイコンソウは花と果実,オオバショウマ・キバナアキギリはつぼみ,ウワバミソウ・ヌスビトハギ・ツクバネソウや低木のハナイカダ・コアジサイ,サルトリイバラに果実,ハイイヌガヤ,カナクギノキ,リョウブ,ヤマグワ,ダンコウバイなどの木本,ビッチュウアザミ(?)はつぼみ,ミヤマヨメナが群生,ツルリンドウ・ツルニンジンに花,クロタキカズラが地を這う.水田沿いの陽湿地では,ミゾソバ・ツリフネソウ・ヒヨドリバナ・アカバナ・ウナギツカミに花,ゲンノショウコは白花もある,ツユクサ・ナガミノツルキケマン・クルマバナ・ハシカグサ・クサノオウ・ウド・ハキダメギク・エノキグサ・チカラシバに花,キカラスウリのつるに若い果実,ヤマノイモにむかご,アケビは葉だけ.標高664 mのケヤキの造林地にクモキリソウ,エゾエノキ.ここから谷沿いの林道に入る.北向き斜面はスギ植林で伐採も行われていた.標高750 m付近までは流紋岩地,ママコナ・ヤブタバコ・イヌトウバナ・シュウブンソウに花,ミツバウツギに袋果がぶら下がり,草本のミツバに果実,ガマズミ,コバノガマズミ,タニウツギに果実,イヌブナ,タムシバ,ノブドウなどの木本,ノギランに花,フタリシズカが群生.標高790 mの峠を抜け,南東斜面はヒノキ植林となる.母材が花崗岩で水分に恵まれた条件であり,ウリノキ,ジュウモンジシダ,リョウメンシダ,ミヤマシケシダ,コバノフユイチゴなどが多く,ヒノキの樹高が高い.路傍にトチバニンジン(果),ミヤマシキミ,コシアブラ,クマシデなど.標高900 mを超えると落葉広葉樹林,たたら製鉄を支えた薪炭林のなごりである.ツノハシバミ,エゴノキ,アカシデ,ヤマコウバシ,ヤマウコギ,キブシ,ミヤマホウソ,オオカメノキ,ナナカマド,ソヨゴ,アセビ,クリ,カマツカ,コツクバネウツギ(果),ウメモドキ,ウワミズザクラ,ムラサキシキブ,ヤブムラサキ,アズキナシなどの木本に,キクバヤマボクチ,シラヤマギク・ミヤジマママコナ・ヤマジノホトトギスに花が見られた.昼食後,山頂部の植生調査,高木層にミズナラ,アオハダ,亜高木層にヤマボウシ,ミズキ,低木層にスギ,ハクウンボク,ウグイスカグラ,ヤマウグイスカグラ,コアジサイ,ウリハダカエデ,ミヤマガマズミ,ダイセンミツバツツジ,草本層にイヌツゲ,チゴユリ,タチドコロ,タンナサワフタギ,オトコヨウゾメ,クロモジ,イワガラミ,ヤマフジ,コゴメウツギ,アキノキリンソウが出現.下りは約1時間,険しい道ではないが距離が長めで,途中で引き返された方もあった.今回の観察地は国土地理院の地図に山名が記されていない.「芸藩通誌」巻116の上千鳥村絵図,巻118の山林の記述と「比婆郡誌」の山岳名は古社(こしゃ)山,通誌巻117の備後国奴可郡の疆域形勢と庄原市東城支所の基本図は古蘇山.山頂部の地籍名が字下姑蘇で「東城町史」第1巻付属地図が姑蘇山となっている,また,この地域の山名はすべて“~やま”と呼ぶらしい.
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