植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter471
ヒコビアミニレターNo.471(2017年6月30日)
2017年6月18日の第595回植物観察会は広島県世羅郡世羅町黒川明神で行われ,好天に恵まれて52名の参加者があった.黒川明神は世羅台地に更新世(今から60万~100万年前)に噴出した火山で,周辺の花崗岩地帯とは異なり玄武岩である.そのためアカマツ林の発達が悪く,アベマキやケヤキの落葉広葉樹林が発達している.しかし,現状では,山麓の大部分はヒノキ植林地になっている.ヒノキ植林地の林床には,ほとんど,植物がない.垰田さんの説明では,ヒノキはもっとも耐陰性がある樹種で,下方まで葉が茂るため林内は光不足で暗くなり,植物が生えない.アレロパシー(植物の出す化学成分が他の植物の芽生えを抑制する)ではない,とのことである.暗い林内には,クモキリソウやリョウメンシダ,ナンゴクナライシダなどが散発的に見られる.ウルシの樹高15 m,胸高直径30 cm程の大木があった.これは本来の自生ではなく,漆採取のために植えたものであろう.海抜450 mあたりからアベマキ・コナラ・アカシデなどの落葉広葉樹林になる.林下にはコウヤボウキが多く,めずらしいウメガサソウがちょうど満開で,個体数も多く注目される.頂上には,1995年8月20日のヒコビア会で確認したフナバラソウがあった.シカの食害を受けているが,子苗がたくさんあった.前回見たスズサイコは確認できなかった.下山してから,前回,サギソウなどを見た湿地を捜したが分からなかった.
(T. Seki 記)
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