植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter470

ヒコビアミニレターNo.470(2017年5月31日)

 2017年5月21日の第594回植物観察会は島根県飯石郡飯南町の大万木山で行われた.大万木山北方の林道脇,10時集合.参加者70名.集合場所はあまり広くないので,参加者数によっては混乱する可能性があったが,早着された方の協力により何とか収まった.集合地から尾根を越えて等検境からの登山道に入る.標高 920 m,ブナ,ミズナラ林の低木層のコバノガマズミ,路傍のチゴユリユキザサが満開状態,多雪地帯に特有のヒメモチも開花中,ツクバネソウタチシオデに花,オオイカリソウは残花.門坂駐車場からの道に合流すると間もなく地蔵尊がある尾根に.三瓶山方面の展望が開け,コミネカエデナナカマドが出てくる.ウリハダカエデには花穂,ブナの葉上に殻斗果が見える.標高1000 mを超えると,道は北向き斜面をジグザグに登る.ハリギリホオノキキハダが混じる.多雪地の変種であるハイイヌガヤチャボガヤエゾユズリハが揃う.路傍のタチツボスミレツルタチツボスミレの型で花が多い,ニシキゴロモの小さな株,ミヤマシキミクロモジに花,ダイセンミツバツツジタンナサワフタギコバノフユイチゴツルアリドオシが目立つ.葉の上に花穂を伸ばしているのはイブキザサとのこと,毎年何処かで花を見る.新緑のブナ林が広がる緩い尾根道は快適そのもの.標高1150 mの水場付近からサンカヨウを探す,湿った林床には一面に生育,白い花を付けている.若い果実の段階も多く,つぼみ状態は無かった.群生地に問題は無さそうであるが,山頂近くの道沿いには花・葉が切り取られた跡があった.1200 mを越すとマイヅルソウが多く,サワハコベの花が混じる.サワフタギコマユミツリバナは開花していない.昼食時の山頂は人であふれ,この山の人気を物語っている.北側へ少し下り,山頂大ブナ,通称「たこブナ」を見る,地上部の低い幹から多数の萌芽枝が立ち上がっている様子は,本州中北部のブナ薪炭林の「あがりこ」によく似ている.帰路は意識してゆっくり下ったが,14時には集合地に戻り,早い解散となった.

(H. Taoda 記)

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