植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter444
ヒコビアミニレターNo. 444(2015年6月28日)
2015年6月21日の第567回植物観察会は庄原市高野町大鬼谷(おおぎだに)で行われた.さわやかな梅雨の晴れ間で,風も涼しく快適で,45名の参加者があった.大鬼谷には雄滝(おんたき,落差30 m)と雌滝があり,大宮神社[南の八幡神社]のご神体である「倒面鏡(さかつらのかがみ)」が雄滝の滝壺から見つかったので,この渓谷は神域として大切に保護されてきた.原植生としては,山地斜面にイヌブナ—ハイイヌガヤ群集,渓谷にトチノキ—ジュウモンジシダ群集があったと推定されるが,現在は二次林とスギ植林地で,イヌブナやサワグルミの大きな木は見当たらず,トチノキも見かけなかった.高木層にミズナラやコナラ,ミズキ,クマノミズキ,ホオノキ,イヌザクラ(若い果実),ウワミズザクラ(若い果実),エゾヤマザクラ,ネムノキなど,ノグルミ(つぼみ)の巨樹(目測で樹高約20 m,胸高直径約80 cm)があった.亜高木層から低木層はコブシやハクウンボク,ツノハシバミ,アテツマンサク,クロモジ,ウスゲクロモジ,クロタキカズラ,ムシカリ,ハナイカダ,ミツバウツギ(果実),ウツギ(花終わりかけ),ミヤマハハソ(花),アワブキ,ヤマアジサイ(つぼみ),コアジサイ(花),チャボガヤ,ハイイヌガヤなど,伐採跡にはマタタビ(花)とツリフネソウの群生.草本層はミヤマヨメナ(花,舌状花の尖る型と円頭の型が混生)やアカソ,エビガライチゴ,キビノナワシロイチゴ,イガホウズキ,ウメガサソウ(つぼみ),オオイカリソウ,タガネソウ,ミヤマカンスゲ,オクノカンスゲ,ショウジョウスゲ[小流辺]などがある.雄滝は雨の後で水量が多く,見ごたえがあった.渓側にコチャルメルソウやミヤマカタバミ,ミズタビラコ(花),デワノタツナミソウ(茎の毛は下向き,花冠内面に点がない),ナメラダイモンジソウ,ナルコスゲなど.コケも多く,クマノゴケ(RDB種)がありそうだといったら,井上侑哉君が見つけた.滝のそばにユクノキの大木があり,つぼみをたくさんつけていた.雌滝もほぼ同様の植物相で,ヤグルマソウの群生があり,花が1株ついていた.帰りに,広島県天然記念物「南の八幡神社社叢」を訪れた.かつて,参道には見事なスギの大木の並木があったが,1991年の19号台風で大部分が倒れた.ツチアケビ(つぼみ)やトチバニンジン,ハエドクソウ,カナムグラ,チゴユリなどがある.モミの最大のものを豊原源太郎先生と吉野由紀夫さんが計測,樹高39 m,胸高直径145 cmであった.
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