植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter436
ヒコビアミニレター No. 436(2014年12月29日)
2014年12月21日の第560回植物観察会は東広島市八本松町の曽場ケ城山(607 m)で行われた.八本松駅北口に9:35集合.数日前の寒波で積もった雪が残る寒い朝であったが,参加者は38名.出発前に加茂台地について,とくにアカマツ林の卓越する所であったとの説明が為された.千葉徳爾著「はげ山の研究」(1991)によると,曽場ケ城山南方に隣接する元賀茂郡原村の江戸時代広島藩林の林産物記載した1726年(享保11年)の「御山腰林帳」では,アカマツ,スギ,ヒノキ,カシ,クリ,カエデ,マキがあげられていたが,1860年では,アカマツ,カヤ(ススキ)のみとなり,約150年の間にアカマツ林化が進み,やがてはげ山になったことが述べられている.林産物になりそうな植物に注意しながら登山する.八本松駅から西に500 mばかり進んだ所から曽場ケ城山北斜面の登山道が始まる.沢山の地蔵様を巡る道にもなっている.マツ枯れが目立つが,ネズ,ネジキ,コバノミツバツツジなどのアカマツ群落の主要構成種が豊富であり,遷移進行に伴うマツ枯れではなく,マツ枯れ病による枯死である.シャシャンボ,コシダ,クロキがあり,アセビ,ソヨゴ,リョウブ,イヌツゲ,タカノツメ,コシアブラ,ウラジロノキなどの存在から,アカマツ-アラカシ群集タカノツメ亜群集に属する植分である.アラカシ,ヤブツバキ,ヤブニッケイ,シロダモ,ネズミモチ,イタビカズラ,ナワシログミなどの照葉樹林要素の植物も多く見られた.登山道沿いで,林産物になりそうな植物の胸高直径を測定した.アカマツ(胸高直径71 cm),スギ(60),ヒノキ(25),アラカシ(25),ウラジロガシ(59),クリ(20),ウリカエデ(20),アベマキ(40),コナラ(25),他に,ナツツバキ(37),タカノツメ(37).オオウラジロノキ(25),ソヨゴ(25)などであり,享保11年に記載のあった植物が確認された.海抜高400 m以上では,ウラジロガシ,シキミ,ミヤマシキミ,アカシデ,コガクウツギ,ツルアリドオシ,コアジサイなどが出現し,アカマツ-ウラジロガシ群集コシダ亜群集に属する植分に変化した.山頂手前の尾根筋で昼食,山頂へは行かずに,東方の七つ池に向かって下山した.
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