植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter408

ヒコビアミニレター No. 408 (2012年11月28日)

 2012年11月18日の第532回植物観察会は広島県府中市上下町矢野の矢野岩海で行われた.四季の里キャンプ場の駐車場に10時集合.参加者38名.地質は黒雲母花崗岩で,山上の巨岩が谷に堆積して岩海を形成したもので,国の天然記念物に指定されている.キャンプ場の周りには胸高直径50 cm内外のコナラの大木が点々と残されて日陰を形成し,全体的に明るい感じに整備されている.駐車場からの眺望も良い.周りにアカマツ林が多く見られ,マツ枯れによる被害が未だ軽微であるのが特徴的である.世羅台地の原植生はシラカシ林と推定されるが,昔から人為的影響が強度に及んでシラカシは姿を消していた.世羅台地でも近年里山が放棄されて,次第にシラカシが復活しつつある.しかし,矢野では未だシラカシの侵入が少ないことがアカマツ林の存在と関係するのかもしれない(シラカシの稚樹は点在していたが周りに母樹となるシラカシは見当たらなかった.アラカシの芽生えも1本確認).里山に育つナツアサドリが3か所で残存した(広島大学東広島キャンパスでも2か所残存していたがどうなったであろう).岩海の原植生は落葉広葉樹林であったと推定され,現在ではイヌザクラクリヤマナラシアカシデアカメガシワなどの落葉広葉樹やスギヒノキイヌガヤなどの針葉樹が見られ,岩上をツルアジサイが覆っている.山地の樹木は丁度もみじの盛りで,コナラクリの林の中に,タカノツメアカシデウリカエデクロモジコアジサイなどの黄葉が美しい.尾根筋を登り,展望台と思われるところで昼食をとるが,周りに樹木が茂り,眺望のきくところは見当たらなかった.

(G. Toyohara 記)

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