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2010年10月17日の第502回植物観察会は北広島町大朝の雉子の目山(897 m)で行なわれた.集合場所の八栄神社駐車場は大朝ICから5分程,参道の石段にある一対の大ヒノキは県指定天然記念物.天気も良く,参加者は53名.自家用車は乗り合わせて台数を減らし,登山口へ移動する.廃道となった作業道の両脇にはクマイチゴ,ツノハシバミ,クロモジ,ツクシハギ,アカメガシワ,ナワシログミなどの低木が繁り,サルナシの果実がぶら下がる.路傍・路上にはツリフネソウ,アキチョウジ,コヤブタバコ,ノダケ,シュウブンソウ,コメナモミが咲く.林道から2つ目の谷を登る.スギ林内にはリョウメンシダが多く,アブラチャン,コアジサイ,ハナイカダと共にスギの適地であることを示している.ホウチャクソウ,フシグロセンノウ,オオバショウマが果実をつけ,サラシナショウマ,タンナトリカブトの花は終わりごろ,アケボノソウは咲き始め.標高700 mを過ぎるとミズナラ・クリが優占する二次林となり,760 mからは尾根道,アセビ,ウラジロノキ,ウリカエデ,コバノミツバツツジなどアカマツ林の要素が多くなる.オトコヨウゾメ,アラゲナツハゼ,ミヤマガマズミ,シオデの果実,シラヤマギクの花が眼につく.三角点のある山頂は狭く,展望はきかない.カシワ,レンゲツツジが散在するので,かつては草原だったのだろう.昼食後,北斜面の植生調査を行なう.高木層は樹高12 m,直径20-30 cmのミズナラ,コシアブラが優占,クリ,アズキナシ,カスミザクラが混じる.亜高木層にはウチハカエデ,リョウブ,クマシデ,ネジキなど,低木層はダイセンミツバが優占,イヌツゲ,ヤマツツジ,クロモジなど,草本層にはツルシキミ,シシガシラ,ケタガネソウ,ヒメカンスゲなど.ブナは山頂付近には見られず,尾根部の805 m地点で1本だけ見つかった.薪炭林時代から存在していたものらしい.
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2010年10月17日の第502回植物観察会は北広島町大朝の雉子の目山(897 m)で行なわれた.集合場所の八栄神社駐車場は大朝ICから5分程,参道の石段にある一対の大[[ヒノキ]]は県指定天然記念物.天気も良く,参加者は53名.自家用車は乗り合わせて台数を減らし,登山口へ移動する.廃道となった作業道の両脇には[[クマイチゴ]],[[ツノハシバミ]],[[クロモジ]],[[ツクシハギ]],[[アカメガシワ]],[[ナワシログミ]]などの低木が繁り,[[サルナシ]]の果実がぶら下がる.路傍・路上には[[ツリフネソウ]],[[アキチョウジ]],[[コヤブタバコ]],[[ノダケ]],[[シュウブンソウ]],[[コメナモミ]]が咲く.林道から2つ目の谷を登る.スギ林内には[[リョウメンシダ]]が多く,[[アブラチャン]],[[コアジサイ]],[[ハナイカダ]]と共に[[スギ]]の適地であることを示している.[[ホウチャクソウ]],[[フシグロセンノウ]],[[オオバショウマ]]が果実をつけ,[[サラシナショウマ]],[[タンナトリカブト]]の花は終わりごろ,[[アケボノソウ]]は咲き始め.標高700 mを過ぎると[[ミズナラ]]・[[クリ]]が優占する二次林となり,760 mからは尾根道,[[アセビ]],[[ウラジロノキ]],[[ウリカエデ]],[[コバノミツバツツジ]]など[[アカマツ]]林の要素が多くなる.[[オトコヨウゾメ]],[[アラゲナツハゼ]],[[ミヤマガマズミ]],[[シオデ]]の果実,[[シラヤマギク]]の花が眼につく.三角点のある山頂は狭く,展望はきかない.[[カシワ]],[[レンゲツツジ]]が散在するので,かつては草原だったのだろう.昼食後,北斜面の植生調査を行なう.高木層は樹高12 m,直径20-30 cmの[[ミズナラ]],[[コシアブラ]]が優占,[[クリ]],[[アズキナシ]],[[カスミザクラ]]が混じる.亜高木層には[[ウチハカエデ]],[[リョウブ]],[[クマシデ]],[[ネジキ]]など,低木層は[[ダイセンミツバ]]が優占,[[イヌツゲ]],[[ヤマツツジ]],[[クロモジ]]など,草本層には[[ツルシキミ]],[[シシガシラ]],[[ケタガネソウ]],[[ヒメカンスゲ]]など.[[ブナ]]は山頂付近には見られず,尾根部の805 m地点で1本だけ見つかった.薪炭林時代から存在していたものらしい.
  
 
<div style="text-align:right">(H. Taoda記)</div>
 
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2010年11月12日 (金) 17:34時点における版

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ヒコビアミニレター No. 379 (2010年11月1日)

2010年10月17日の第502回植物観察会は北広島町大朝の雉子の目山(897 m)で行なわれた.集合場所の八栄神社駐車場は大朝ICから5分程,参道の石段にある一対の大ヒノキは県指定天然記念物.天気も良く,参加者は53名.自家用車は乗り合わせて台数を減らし,登山口へ移動する.廃道となった作業道の両脇にはクマイチゴツノハシバミクロモジツクシハギアカメガシワナワシログミなどの低木が繁り,サルナシの果実がぶら下がる.路傍・路上にはツリフネソウアキチョウジコヤブタバコノダケシュウブンソウコメナモミが咲く.林道から2つ目の谷を登る.スギ林内にはリョウメンシダが多く,アブラチャンコアジサイハナイカダと共にスギの適地であることを示している.ホウチャクソウフシグロセンノウオオバショウマが果実をつけ,サラシナショウマタンナトリカブトの花は終わりごろ,アケボノソウは咲き始め.標高700 mを過ぎるとミズナラクリが優占する二次林となり,760 mからは尾根道,アセビウラジロノキウリカエデコバノミツバツツジなどアカマツ林の要素が多くなる.オトコヨウゾメアラゲナツハゼミヤマガマズミシオデの果実,シラヤマギクの花が眼につく.三角点のある山頂は狭く,展望はきかない.カシワレンゲツツジが散在するので,かつては草原だったのだろう.昼食後,北斜面の植生調査を行なう.高木層は樹高12 m,直径20-30 cmのミズナラコシアブラが優占,クリアズキナシカスミザクラが混じる.亜高木層にはウチハカエデリョウブクマシデネジキなど,低木層はダイセンミツバが優占,イヌツゲヤマツツジクロモジなど,草本層にはツルシキミシシガシラケタガネソウヒメカンスゲなど.ブナは山頂付近には見られず,尾根部の805 m地点で1本だけ見つかった.薪炭林時代から存在していたものらしい.

(H. Taoda記)

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