「東広島キャンパスの遺跡/鴻の巣遺跡/旧石器時代の遺構と遺物」の版間の差分

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旧石器時代の遺構・遺物は、調査区西南部および調査区中央部で発見されました。調査区西部と調査区中央部の間には小規模な埋没谷があり、地形的にも二分されています。調査区西南部では、石器ブロック5基(第1ブロック群)が調査区南端部の窪地を取り囲むように分布しています。また、発見された土坑は第5ブロック周辺を中心に造られていました。
 
旧石器時代の遺構・遺物は、調査区西南部および調査区中央部で発見されました。調査区西部と調査区中央部の間には小規模な埋没谷があり、地形的にも二分されています。調査区西南部では、石器ブロック5基(第1ブロック群)が調査区南端部の窪地を取り囲むように分布しています。また、発見された土坑は第5ブロック周辺を中心に造られていました。
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ファイル:鴻の巣遺跡 002 kobunpu02b.jpg|300px|thumb|right|赤丸印は石器ブロックを示す
 
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旧石器時代の石器は9基の石器ブロックを中心に出土しました。石器ブロックのうちC5・6区周辺に分布するもの(第6ブロック)は水晶を中心に石材に利用し、小型品が多いことが試掘調査の結果からわかっていましたので、ブロック周辺の土を採取して(写真)水洗し微細な遺物を回収しました。
 
旧石器時代の石器は9基の石器ブロックを中心に出土しました。石器ブロックのうちC5・6区周辺に分布するもの(第6ブロック)は水晶を中心に石材に利用し、小型品が多いことが試掘調査の結果からわかっていましたので、ブロック周辺の土を採取して(写真)水洗し微細な遺物を回収しました。
出土石器群は後期旧石器時代初期(約30000年前)のもと思われます。調査区西南部の第1~6ブロックでは水晶を中心に、安山岩、流紋岩などの石材を利用していましたが、調査区中央部の第7~9ブロックでは安山岩を中心とした石材が利用されていました。
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写真は調査区中央部で発見された6号土坑です。平面楕円形を呈する大型土坑で、長径2.1m、短径1.8m、深さ50cmの規模があります。出土遺物はなく、用途も不明です。
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この他に、旧石器時代の土坑は調査区西南部で4基、調査区中央部で4基発見されています。調査区西南部の2号土坑では小型焼け礫や焼土粒が集中して出土しており、調理あるいは祭祀に関連した作業が行われたことが分かりますが、その他の土坑はまったく出土遺物がなく、用途不明です。貯蔵穴、墳墓などと推定されます。
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*[[東広島キャンパスの遺跡/鴻の巣遺跡/縄文時代の遺構と遺物|縄文時代の遺構と遺物]]
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*[[東広島キャンパスの遺跡/鴻の巣遺跡/弥生時代以降の遺構と遺物|弥生時代以降の遺構と遺物]]
 
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[[Category:歴史]]
 
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2021年2月18日 (木) 16:17時点における最新版

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旧石器時代の遺構・遺物

旧石器時代の遺構・遺物は、調査区西南部および調査区中央部で発見されました。調査区西部と調査区中央部の間には小規模な埋没谷があり、地形的にも二分されています。調査区西南部では、石器ブロック5基(第1ブロック群)が調査区南端部の窪地を取り囲むように分布しています。また、発見された土坑は第5ブロック周辺を中心に造られていました。  調査区中央部西側は埋没谷の谷頭にあたっており、谷頭の東側平坦部を中心に、土坑4基、石器ブロック3基(第2ブロック群)が分布しています。石器ブロックは土坑に近接して形成されていました。




旧石器時代石器群調査の様子

旧石器時代の石器は9基の石器ブロックを中心に出土しました。石器ブロックのうちC5・6区周辺に分布するもの(第6ブロック)は水晶を中心に石材に利用し、小型品が多いことが試掘調査の結果からわかっていましたので、ブロック周辺の土を採取して(写真)水洗し微細な遺物を回収しました。 出土石器群は後期旧石器時代初期(約30000年前)のもと思われます。調査区西南部の第1~6ブロックでは水晶を中心に、安山岩、流紋岩などの石材を利用していましたが、調査区中央部の第7~9ブロックでは安山岩を中心とした石材が利用されていました。


土坑(旧石器時代)

写真は調査区中央部で発見された6号土坑です。平面楕円形を呈する大型土坑で、長径2.1m、短径1.8m、深さ50cmの規模があります。出土遺物はなく、用途も不明です。 この他に、旧石器時代の土坑は調査区西南部で4基、調査区中央部で4基発見されています。調査区西南部の2号土坑では小型焼け礫や焼土粒が集中して出土しており、調理あるいは祭祀に関連した作業が行われたことが分かりますが、その他の土坑はまったく出土遺物がなく、用途不明です。貯蔵穴、墳墓などと推定されます。



鴻の巣遺跡の遺構と遺物