ルリビタキのオス.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 14, 2020)
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ジョウビタキのメス.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 31, 2020)
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チョウゲンボウの(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 15, 2020)
- 2020.11.23-12.04 東広島キャンパスの夜の芝地ではヤマシギが活動しています.懐中電灯で照らすと眼が光るので,発見は容易です.観察していると,地中に嘴を突き刺しミミズや昆虫などを食べる様子が見られます.また,ため池ではヤマセミの姿が,アカマツ林の林床ではビンズイが見られます.
ヤマシギ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 1, 2020)
ヤマセミ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 24, 2020)
ビンズイ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 28, 2020)
昆虫やクモ類は冬支度を始めています.ムラサキシジミは数匹で身を寄せて枯葉などの上で越冬していることが多いです.他の昆虫は特に常緑広葉樹の葉裏で越冬していることが多いです.観察しやすいものにはクロスジホソサジヨコバイ,ヒゲナガサシガメの幼虫,ギボシヒメグモなどです.アセビの葉裏にはトサカグンバイが見られます.運が良ければワクドツキジグモのような希少種を見つけられるかもしれません.一方で,アベマキやコナラの生える森林では,この時期から繁殖活動を始めるクロスジフユエダシャクが見られます.
クロスジフユエダシャクの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 2, 2020)
越冬するムラサキシジミの集団.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 28, 2020)
ワクドツキジグモの幼体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 30, 2020)
ヒゲナガサシガメの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 25, 2020)
トサカグンバイの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 28, 2020)
クロスジホソサジヨコバイの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 28, 2020)
ギボシヒメグモの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 28, 2020)
アカハバビロオオキノコの成虫.硬質菌(カワラタケなど)を食べる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 26, 2020)
11月
- 2020.11.14-22 初冬の蛾たちです.ウスタビガはキャンパスで最も遅い時期に出現するヤママユガで,枯葉のような翅に,半透明の小さい円紋が特徴です.チャエダシャクはオスの触角が大きい櫛状になっているのが特徴です.(翅の模様はリンク先で見ることができます.)ニトベエダシャクは模様が独特で,他に似た種類が見られません.
ウスタビガの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 22, 2020)
チャエダシャクの成虫(オス)の正面顔.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 16, 2020)
ニトベエダシャクの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 20, 2020)
東広島キャンパスでは初冬の象徴である雪虫が飛んでいます.雪虫は季節によって宿主を変えるアブラムシ類で,初冬になると蝋物質をつけた有翅成虫が見られます.学内は主にヒイラギハマキワタムシとケヤキヒトスジワタムシが生息しています.
飛翔するヒイラギハマキワタムシ(有翅虫).夕方や天気の悪い日に活発に飛ぶ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 16, 2020)
ケヤキヒトスジワタムシ(有翅虫).蝋物質はほとんどついていない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 16, 2020)
モズが杭や枝などにとまって「キチキチキチ」と鳴く姿が見られます.過眼線(目の後方にのびる線)が黒ければオスで、そうでなければメスです.本種は冬季に昆虫やカエル,トカゲなどを捕らえて樹木の枝や棘に刺す「はやにえ」を行います.今回ははやにえにされたアオマツムシが見られました.
「キチキチキチ」と鳴くモズ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 16, 2020)
モズのはやにえ(アオマツムシ).11/14には全身が残っていた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 14, 2020)
モズのはやにえ(アオマツムシ).11/16には腹部がなくなっていた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 16, 2020)
冬季にキャンパスで見られる猛禽類です.ハヤブサは後二種とは異なりハヤブサ目に属しており,開けた環境で他の鳥を狩ります.ノスリはトビより一回り小さいタカで,白っぽい羽毛と腹部の褐色帯が特徴です.農地でネズミやカエルなどを狩ります.ハイタカはハトより少し大きいくらいの小型のタカで,冬季のキャンパスでは最もよく見られる猛禽類です.
ハヤブサ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 18, 2020)
ノスリ.腹部に褐色の帯がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 21, 2020)
ハイタカ.ツミに似るが,翼指が6枚見えることで識別可能.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 20, 2020)
ダンゴムシは学内で主に二種類が見られます.植木鉢の下や花壇に普通に見られるオカダンゴムシと,森林の湿潤な落葉下などに見られるタマコシビロダンゴムシ属(シッコクコシビロダンゴムシ)です.オカダンゴムシは明治期にヨーロッパから移入してきたとされる外来種ですが,タマコシビロダンゴムシ属は在来種とされています.前者は成体で体長10 mmほどの大型種ですが,後者は成体で体長6-7 mmほどの小型種です.見た目の違いは以下の写真で解説します.
オカダンゴムシ.相対的な頭部の大きさが小さく,腹尾節(赤で囲った部分)が三角形をしている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 21, 2020)
タマコシビロダンゴムシ属の一種.相対的な頭部の大きさが大きく,腹尾節(赤で囲った部分)が鏡餅状をしている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 21, 2020)
- 2020.11.05-11.14 東広島キャンパスで見られた晩秋のきのこを紹介します.きのこを見る機会は減りましたが、この季節特有のものもいくつか見られます.広葉樹の枯れ木には栽培品も有名なヒラタケや,林内の落葉からはムラサキシメジが発生していました.その他にも,小柄なものの色鮮やかなサクラタケやアカヤマタケ,形状が独特なコツブタケなど様々なきのこが顔を出しており,シーズンの終盤を彩ります.
ヒラタケ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 7, 2020)
ムラサキシメジ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 5, 2020)
サクラタケ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 10, 2020)
アカヤマタケ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 10, 2020)
コツブタケ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 10, 2020)
11月中旬に観察された野鳥を紹介します.笹薮など薄暗い林縁部にはクロジが見られます.アオジと紛らわしいですが,オスは全身が黒っぽく尾羽に白斑がないという特徴があります.シロハラは林床などを跳ね回り,落ち葉を返して虫などを捕食します.マヒワはクチュクチュと鳴きながら,樹上を移動します.
クロジ(オス).尾羽に白斑がない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
シロハラ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 14, 2020)
マヒワのメス(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 14, 2020)
亜種オオカワラヒワを観察することができました.本亜種であるカワラヒワに似ますが,一回り大型で三列風切外弁の白色部が幅広いなどの特徴があります.日本には冬鳥として飛来します.山中池などのため池ではマガモやオオバンの姿が見られます.
オオカワラヒワ.三列風切外弁の白色部(赤矢印の先)がカワラヒワより幅広い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 14, 2020)
マガモの雌雄.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 9, 2020)
オオバン.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
晩秋の蛾が出現しています.ヒメヤママユはヤママユガ科の大型種で,東広島キャンパスでは11月上~中旬に出現します.オスのほうが翅の色が濃く翅形が細いですが,メスでは翅色が淡く翅がより丸みを帯びます.地衣類擬態のケンモンミドリキリガも見られます.
ヒメヤママユの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 9, 2020)
ヒメヤママユの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
ケンモンミドリキリガの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 12, 2020)
秋の昼行性の昆虫です.アキアカネはキャンパスでは10月以降成熟した個体が見られるようになり,枝先などにとまっている姿が見られます.コノシメトンボはリスアカネに似ますが胸部側面の模様が異なり,全身が赤くなります.植生の少なく開放的なため池の周辺に見られ,地面にとまることが多いです.ミノウスバはオスが日中マユミやマサキなどニシキギ科の周りを飛んでおり,産卵を終えたメスはそれらの枝先にしがみついています.
アキアカネの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
コノシメトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
ミノウスバ成虫(オス).腹部を反り上げて威嚇する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 12, 2020)
その他の昆虫やクモ類です.クスノキの葉裏には外来種のクスベニヒラタカスミカメの姿が見られます.幼虫は飴細工のような透明感のある姿をしています.キュウシュウクロナガオサムシは繁殖期を迎えており,林床をさかんに歩き回っています.
クスベニヒラタカスミカメの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 9, 2020)
クスベニヒラタカスミカメの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 9, 2020)
キュウシュウクロナガオサムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 6, 2020)
林縁部などでは多くのジョロウグモが見られます.秋にはどこでも普通に見られ,立体的で大きな網を張ります.オオミノガの幼虫がイロハモミジを食べる様子や先週に引き続きムラサキシジミの日光浴が見られました.
秋の林のジョロウグモの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 5, 2020)
イロハモミジを食べるオオミノガの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 6, 2020)
ムラサキシジミの成虫(オス).メスより翅表の有色部が広い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 13, 2020)
ヒドリガモとオカヨシガモ.ともにオス.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 30, 2020)
ジョウビタキ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 3, 2020)
ノビタキのメス(冬羽).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 30, 2020)
発見の小径ではアトリやアオジの姿も見られます.ミツバアケビの実を食べるメジロの姿も見られました.
アトリ(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 3, 2020)
アオジ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
ミツバアケビの実を食べるメジロ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 31, 2020)
山の中を歩くとツグミ類の混群と遭遇することがあり,ツグミ,シロハラ,マミチャジナイ,クロツグミを確認することができました.また,特定外来生物に指定されているソウシチョウの姿を見ることもあります.本種は薄暗い林内を好み,同様の環境を好むウグイスとの競合が懸念されます.
マミチャジナイ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
クロツグミ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
ソウシチョウ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
アシナガバチ類が繁殖期を迎えています.特にセグロアシナガバチやキアシナガバチのオスがよく見られます.トゲアリも繁殖期を迎えていて,巣の周りにオスの姿を確認することができました.
セグロアシナガバチの成虫(オス).広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 27, 2020)
キアシナガバチの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
トゲアリの成虫(オス).翅が生えており毛深い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
快晴の寒い朝には,ムラサキシジミが体温を上げるために翅を開く姿が見られます.開けた草地や荒地では、アカタテハがテリトリーを張っている姿が見られます.ため池の周辺ではオオアオイトトンボが飛んでいます.
ムラサキシジミの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 3, 2020)
アカタテハの成虫.秋に見られることが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 30, 2020)
オオアオイトトンボの成虫(オス).アオイトトンボ類では最も遅い時期まで見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Nov. 1, 2020)
10月
- 2020.10.01-17 東広島キャンパスでシマアメンボの長翅型やヒメカマキリを観察することができました.シマアメンボはリンク先の写真のように無翅型の観察例が多いですが,稀に翅を有する成虫を見ることがあります.本種は山中谷川や角脇川などの淀みで普通に見られるので,是非探してみてください.ヒメカマキリはキャンパスでの個体数は多いですが,体長30 mm前後と小型なのでやや見つけにくいカマキリです.特にオスは敏捷に走り,飛翔します.
シマアメンボの成虫(長翅型).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 16, 2020)
ヒメカマキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 6, 2020)
ヒメカマキリの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2020)
荒地などではヨモギの花穂に擬態していると考えられるハイイロセダカモクメの幼虫が見られます.また,スズメバチやアシナガバチが繁殖期に入り,オスのハチが時々見つかるようになりました.オオスズメバチの働きバチは依然として樹液を独占しており,林縁部を歩く際は注意が必要です.
ヨモギの花穂に擬態するハイイロセダカモクメの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 12, 2020)
コガタスズメバチの成虫(オス).触角がメスよりも長い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
樹液を集めるオオスズメバチの働きバチ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 13, 2020)
10月上~中旬にキャンパスで見られた赤とんぼです.ネキトンボは翅の基部が褐色であることが特徴で,ショウジョウトンボによく似ていますが,ネキトンボには胸部側面に明瞭な黒筋があるほか,脚までは赤くないなどの違いがあります.キトンボは翅の基部から中ほどまで黄褐色になるのが特徴のトンボで,12月まで生きていることがあります.リスアカネはやや薄暗いため池の周縁に見られます.
ネキトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
キトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 6, 2020)
リスアカネの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
生態実験園などでは渡りをするチョウ,アサギマダラを観察することができました.しばしばミゾソバやサワヒヨドリに訪花しています.ナミアゲハがヒガンバナで,ツマグロキチョウがアキノノゲシやキツネノマゴで吸蜜する姿も見られました.
ササ類につくアブラムシにはゴイシシジミがやって来ることがあります.幼虫はこれらのアブラムシを捕食し,成虫は彼らが出す甘露を吸います.ウラナミシジミやクロマダラソテツシジミは南方から飛来し本土で発生を繰り返しますが,冬には死滅します.(無効分散)
アサギマダラの成虫(オス).キャンパスではサワヒヨドリを好んで訪花する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
ヒガンバナに訪花するナミアゲハの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 5, 2020)
アキノノゲシの花で吸蜜するツマグロキチョウの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 12, 2020)
ゴイシシジミの成虫.ササ類の茂る環境に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
ウラナミシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 12, 2020)
クロマダラソテツシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 15, 2020)
秋のヤママユガ類であるクスサンが出現しています.昨年に比べ発生数は少ない印象です.ウスバツバメガは昼行性の蛾で,サクラ並木をヒラヒラと舞います.ミツバアケビの実の汁を吸うアケビコノハも見られました.
クスサンの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 11, 2020)
ウスバツバメガの成虫(メス).キャンパス内のサクラ並木で見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 6, 2020)
アケビコノハの成虫.枯葉擬態の翅表に対し,翅裏は鮮やかな黄色.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2020)
9月
- 2020.09.13-28 東広島キャンパスでコガタノゲンゴロウを観察することができました.コガタノゲンゴロウは1950年代以降大きく数を減らしたゲンゴロウの一種で絶滅が心配される種でしたが,近年急激に分布を拡大しており,個体数も回復しています.マルチビゲンゴロウは微小なゲンゴロウ類で,こちらは近年減少傾向にあり環境省RDBで準絶滅危惧種に選定されています.トガリアメンボは東南アジア原産の外来種で,その高い飛翔性から分布を拡大しています.
コガタノゲンゴロウの成虫(メス).東広島市内でも目撃情報が絶えない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 26, 2020)
マルチビゲンゴロウの成虫.2mmほどしかない微小なゲンゴロウ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
トガリアメンボの成虫.体長は4 mmほどで,敏捷に泳ぐ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 28, 2020)
様々なヘビの幼体(幼蛇)を観察することができました.シマヘビとジムグリは幼蛇と成蛇で色彩が異なります.一方,シロマダラは模様の変化が小さいです.
シマヘビの幼蛇.幼蛇はアズキヘビとも呼ばれる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 10, 2020)
ジムグリの幼蛇.赤地に黒の斑紋が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 29, 2020)
シロマダラの幼蛇.成蛇に比べると体の白みが強い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 21, 2020)
東広島キャンパスは鳥の秋の渡りシーズンに入り,エゾビタキやコサメビタキなどが見られます.エゾビタキは胸から腹にかけての縦斑紋が特徴的で,コサメビタキにはこれがありません.この二種はしばしば「フライキャッチ(空中で羽虫を捕らえる)」をする様子を観察することができます.森林内ではオオムシクイの姿を見ることができます.外見でメボソムシクイやコムシクイといった類似種と識別するのは難しく,鳴き声によって同定することが求められます.
エゾビタキ.胸から腹にかけては白地で,明瞭な縦斑紋をもつ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
コサメビタキ.胸や腹に目立った斑紋はない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
オオムシクイ.野外において,メボソムシクイやコムシクイとは鳴き声以外での識別が困難.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
キャンパスのクモ類です.林縁部ではビジョオニグモがよく見られます.腹部には人の顔のような模様があり,個体によって表情も様々です.薄暗い林内ではキジロオヒキグモが見られました.特徴的な長い腹部をもつ記録の少ないクモです.トビズムカデは大型のムカデで,夜間道路や樹幹を這っています.
ビジョオニグモの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2020)
キジロオヒキグモの成体(メス).長く伸びた腹部が特徴的.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 29, 2020)
トビズムカデの成体.脚の赤い個体.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 20, 2020)
セミや鳴く虫の紹介です.セイタカアワダチソウやクズの生える乾いた草地では,ヒロバネカンタンが鳴いています.カンタンとは異なり,「リー・リー」と音を引き延ばします.アカマツ林の樹上ではチッチゼミが鳴いています.小型種で高枝にいることが多いため姿の観察は困難ですが,「チッチッチッチ...」という鳴き声はよく聞くことができます.生態実験園ではミンミンゼミがアキニレの枝に産卵する様子が見られました.
クズの葉裏から身を乗り出して鳴くヒロバネカンタンの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
アカマツの高枝で鳴くチッチゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 15, 2020)
アキニレの枝に産卵するミンミンゼミの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2020)
ササキリの仲間です.ササキリはやや薄暗い林縁部で「ジリジリジリジリ…」と鳴きます.複眼が真っ黒なのが特徴です.ホシササキリとウスイロササキリは明るい草地で「シリリリリリ…」と鳴く,ともに似たササキリです.ホシササキリは乾燥した草地に多く,翅の側面に黒斑を有します.ウスイロササキリはやや湿った草地を好み,翅が長く目立った斑紋もありません.
鳴くササキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
ホシササキリの成虫(オス).東広島キャンパスでは多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
ウスイロササキリ成虫(メス).東広島キャンパスでは少ない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2020)
クマスズムシは畑地や林床などに見られるコオロギで,「シュリシュリシュリ…キーーーーーン」という独特な声で鳴きます.カネタタキは樹上で「チン・チン・チン」と鳴きます.ツユムシは明るい草地で見られ,「ピチッ・ピチッ」と小さく鳴きます.
鳴くクマスズムシの成虫(オス).「シュリシュリシュリ…」という前奏から始まり,次第に「キーーーーーン」という高音に変化する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 21, 2020)
鳴くカネタタキの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
ツユムシの成虫(オス).明るく開けた草地に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2020)
セスジツユムシは発見の小径で最も見られるツユムシで,オスは主に夜間,「チチチチチ…ジーチョ・ジーチョ」と鳴きます.サトクダマキモドキとヤマクダマキモドキは落葉広葉樹林の林縁部に多く見られます.両種はよく似ていますが,サトでは前脚が緑色の個体が多く,ヤマでは前脚が赤く色づきます.
鳴くセスジツユムシの成虫(オス).「チチチチチ…」という前奏から始まり,「ジーチョ・ジーチョ」という音で終わる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
サトクダマキモドキの成虫(オス).前脚の腿節が赤褐色にならない個体が多い(稀に色づく個体もいるため注意).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 23, 2020)
ヤマクダマキモドキの成虫(オス).前脚の腿節が赤褐色に色づく.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
9月に見られた主なチョウです.ナガサキアゲハは黒を基調とした大型のアゲハで,メスは前翅の基部に赤い斑紋があり,後翅には白い斑紋が並びます.ウラギンシジミはオスの翅表の斑紋が赤褐色であり,メスとの識別点になります.ツマグロキチョウは食草のカワラケツメイの減少とともに全国的に減っていますが,東広島では毎年安定して観察することができます.
静止するナガサキアゲハの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2020)
秋型のウラギンシジミの成虫(オス).やや前翅頂が尖る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
ブタナで吸蜜するツマグロキチョウの成虫(秋型).後翅裏に黒い筋が入る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 28, 2020)
トンボの紹介です.水草の豊富な池ではムスジイトトンボが見られます.オオイトトンボによく似ており,細かな違いを確認する必要があります.オオルリボシヤンマは過去のトンボ相調査(青山ほか 2014)でも記録がなく,キャンパス内のため池で発生した個体かどうかは不明です.浅くなった泥地ではマユタテアカネの連結産卵が見られます.
ムスジイトトンボの成虫(オス).オオイトトンボに似るが,複眼は青みが強く,後眼紋が小さい.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2020)
オオルリボシヤンマの成虫(オス).東広島キャンパスでは過去に目撃例がない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
連結飛翔するマユタテアカネ.産卵行動も見られた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 27, 2020)
キャンパスで見られる個性的なイモムシです.ウラギンシジミの幼虫は尻の方に二本の角をもち,刺激を受けるとここから線香花火のような突起を出します.シンジュサンの幼虫は青白い体色に短い突起が並んでいるのが特徴です.シャチホコガの幼虫は刺激を受けると反り返り,長い胸脚を広げて体を震わせます.
ウラギンシジミの幼虫.クズの花序を調べると見つかる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 13, 2020)
威嚇するシャチホコガの幼虫.落葉広葉樹の葉を好む.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 22, 2020)
ルリクチブトカメムシの成虫.瑠璃色の金属光沢が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 3, 2020)
ミソハギに飛来するナミルリモンハナバチの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 1, 2020)
ノブドウで吸蜜するオオセイボウの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 8, 2020)
他の虫に擬態していると考えられる生き物を紹介します.ホソヘリカメムシの若齢幼虫は非常にアリに似た姿形をしていますが,鋭い口吻があるのでカメムシであることがわかります.キボシマルウンカは様々な植物につく6-7mmほどの昆虫で,テントウムシに酷似しますが,ウンカに近縁な昆虫です.オドリハマキモドキは翅を立たせながら葉上をせわしなく動き回ります.前翅の先端に並ぶ黒い斑紋がハエトリグモの目のように見え,小刻みに跳ねながら動くさまもそっくりです.
ホソヘリカメムシの幼虫.カメムシである証拠として,口吻がある(矢印).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 3, 2020)
交尾中のキボシマルウンカ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 31, 2020)
オドリハマキモドキの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 31, 2020)
広義のバッタ類です.クルマバッタは東広島キャンパスでは限られた草地でしか観察することができません.クルマバッタモドキやトノサマバッタに似ていますが,胸部背面がやや盛り上がること,飛ぶとき後翅に黒い輪っか模様が確認できること,翅の模様など総合的に見ると識別可能です.アシグロツユムシは林縁部などで見られるツユムシの仲間で,「ジキ・ジキ...」と目立たない声で鳴きます.アオマツムシは明治頃に帰化したとされる外来種です.街路樹や雑木林などの樹上で「チリー・チリー!」と騒がしく鳴きます.
緑色型のクルマバッタの成虫(メス).胸部背面が盛り上がる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 9, 2020)
アシグロツユムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 1, 2020)
鳴くアオマツムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 9, 2020)
カマキリ類も発生しています.ハラビロカマキリは樹上で見られるカマキリで,昨年キャンパスで確認された外来種のムネアカハラビロカマキリとの競合が懸念されます.チョウセンカマキリはオオカマキリに酷似しますが,やや開けた草地などの環境を好みます.詳しい解説はそれぞれの個別ページをご覧ください.コカマキリは地表付近で見られるカマキリで,前脚の脛節の内側の斑紋が特徴です.
褐色型のハラビロカマキリ成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 8, 2020)
チョウセンカマキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 10, 2020)
コカマキリの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
キャンパス内の小川ではハグロトンボがよく見られます.翅がすべて黒く,オスは腹部が金緑色に輝くので大変印象的です.アジアイトトンボはため池や湿地で見られ,アオモンイトトンボに似ていますが一回り小さいです.オニヤンマは日本最大のトンボで,ゆったりと飛翔するさまは圧巻です.
山中谷川のハグロトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 10, 2020)
湿地のアジアイトトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 10, 2020)
オニヤンマの成虫(メス).産卵管がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 10, 2020)
8月
鳴くスズムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 25, 2020)
鳴くマツムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 25, 2020)
クズの葉の隙間から鳴くカンタンの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
エンマコオロギの成虫(オス).オスも丸みを帯びた頭部をしている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
ミツカドコオロギの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
鳴くツヅレサセコオロギの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 28, 2020)
ヤマトヒバリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 25, 2020)
クサヒバリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
鳴くオナガササキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
マツムシモドキの成虫(オス).鳴かない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 28, 2020)
ウスグモスズの成虫(オス).鳴かない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
クマスズムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
ヤママユは大型の蛾で,晩夏から初秋にかけて出現します.ヤホシホソマダラは胴体が青く輝く美しい昼行性の蛾で,キャンパスでは6-7月と9-10月に開けた草地で観察することができます.ヒメクロホウジャクも昼行性で,ミソハギの花に訪花していました.
ヤママユの成虫(メス).翅の色には変異がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 25, 2020)
ヤホシホソマダラの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 28, 2020)
ヒメクロホウジャクの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
トンボの仲間は,アカネ属のマユタテアカネやヒメアカネ,マイコアカネの未成熟個体をため池や湿地の周辺で観察することができます.アオイトトンボやコバネアオイトトンボは既に成熟しており,林縁部の草本にとまる姿が見られます.カトリヤンマなどのヤンマは日中は不活発ですが夕方になると活発に飛翔します.
マイコアカネの成虫(未成熟オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 28, 2020)
ヒメキンミズヒキにとまるアオイトトンボの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
カトリヤンマの成虫(オス).日中は薄暗い林内で休んでいることが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2020)
- 2020.08.11 ががら山の麓のススキ群落でカヤキリを観察することができました.カヤキリは日本最大の鳴く虫かつ日本最大級のキリギリスで,丈の高いススキやヨシが茂る草原で「ジーーーー」という大きな声で鳴きます.また,成虫になったオオカマキリを観察することができました.
ススキにとまるカヤキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 11, 2020)
カヤキリの成虫(オス).頭頂はやや尖るが,クビキリギスほどではない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 11, 2020)
羽化したばかりのオオカマキリの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
山地に生息する傾向の強いハサミツノカメムシを観察することができました.オスの腹部の先には赤い鋏状の突起(生殖節)が見られますが,メスでは見られません.ヒゲナガサシガメは幼虫で越冬するサシガメで,樹上や山際の手すりでよく見られます.アオバハゴロモは広葉樹や草本の枝や茎についている様子がよく見られ,キャンパスでの個体数も多いです.
ハサミツノカメムシの成虫(メス).胸部の両端が赤い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 11, 2020)
アオバハゴロモの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 11, 2020)
東広島キャンパスで見られるコガネグモ類です.キャンパスではコガネグモは草地や森林が接するような環境で,ナガコガネグモはやや湿った草地で,ムシバミコガネグモは林縁の人工物の周辺で見られることが多いです.初夏にはふれあいビオトープを中心にチュウガタコガネグモが,これからの季節は薄暗い林縁部ではコガタコガネグモが観察できます.
コガネグモの成体(メス).林縁部や草地などで見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
ナガコガネグモの成体(メス).草地に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 11, 2020)
ムシバミコガネグモの成体(メス).林縁部に見られた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
- 2020.07.30-08.07 東広島キャンパスでマメイタイセキグモとカトウツケオグモを観察することができました.両種とも全国的に記録の少ない種です.マメイタイセキグモはいわゆるナゲナワグモであり,湿度の高い夜間にススキ原などで粘球を振り回し,小型の蛾を誘因して捕らえます.カトウツケオグモも,何らかの手段でハエを誘引しているのではないかという説がありますが,詳しいことは分かっていません.
マメイタイセキグモの成体(メス).粘球がついた糸を振り回し,小型の蛾に付着させて捕らえる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
蛾を捕らえたマメイタイセキグモの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 4, 2020)
カトウツケオグモの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 31, 2020)
東広島キャンパスではアキノタムラソウが咲いており,チョウやハチの仲間が訪花します.今回はナミルリモンハナバチとその寄生対象とされるスジボソコシブトハナバチ,さらにシロスジコシブトハナバチを観察することができました.
アキノタムラソウに訪花するナミルリモンハナバチの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 6, 2020)
アキノタムラソウに訪花するシロスジコシブトハナバチの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
アキノタムラソウから吸蜜するスジボソコシブトハナバチの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
角脇調整池の岸辺ではツチガエルのオスが鳴いています.「ギュー、ギュー」という低く濁った音が特徴です.(広島県のツチガエルのページもご覧ください.)また,カエルやミミズを狙ってか50cmを超えるヒバカリの成蛇も現れました.学内の山の林床では空色が美しいキノコのソライロタケを観察することができました.
鳴くツチガエルの成体(オス).「ギュー、ギュー」という音を発する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 4, 2020)
ヒバカリの成蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
東広島キャンパスのため池にはギンヤンマやショウジョウトンボなど,多様なトンボが見られます.ここでは3種取り上げたいと思います.チョウトンボは青い光沢感のある翅が特徴的で,ヒシやガマなどの水生植物が豊富な富栄養池に見られます.富栄養池を好むトンボにはウチワヤンマやタイワンウチワヤンマがいます.タイワンウチワヤンマは元々九州などに分布していましたが,温暖化の影響で北上しているとされています.両種とも腹部先端のうちわ(団扇)が特徴です.
チョウトンボの成虫(オス).西条では大変個体数が多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 6, 2020)
ウチワヤンマの成虫.団扇の中に黄斑がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 6, 2020)
タイワンウチワヤンマの成虫.団扇の中に斑紋はないため,全体が黒い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 6, 2020)
晩夏に野外観察をする上で気を付けたいのはイラガ(幼虫)の存在です.イラガの仲間はカキノキやクリなど広葉樹の葉を食べ,多くの種が派手な色彩とトゲだらけの見た目をしていますが,葉裏にいることが多く中々存在に気づくことが難しいです.刺されると電気が走るような痛みを伴うことから「デンキムシ」の俗称があります.ここではイラガ,アオイラガ、アカイラガ,ヒメクロイラガ,ヒロヘリアオイラガ,テングイラガの6種を紹介します.
イラガの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
アオイラガの幼虫.ヒロヘリアオイラガの幼虫に似るが,背面中央の青帯は一様に色がついている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
アカイラガの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
カキノキを食べるヒメクロイラガの幼虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
ヒロヘリアオイラガの幼虫.背面中央の青帯は斑状になっている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
テングイラガの幼虫.10mmほどの大きさ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
東広島キャンパスの朝から夕方にかけてはセミやキリギリス(ニシキリギリス)が鳴いています.キャンパスで夏に確認できるセミとしては,アブラゼミ,クマゼミ,ニイニイゼミ,ミンミンゼミ,ツクツクボウシ,ヒグラシの6種です.日が暮れると,秋の鳴く虫が鳴いています.この時期に多いのはハヤシノウマオイで,「スィーッチョン」と鳴きます.バッタの仲間も見られます.
ニイニイゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 31, 2020)
ヒグラシの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 30, 2020)
ニシキリギリスの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 31, 2020)
ハヤシノウマオイの成虫(オス).「スィーッチョン」とゆっくりとしたテンポで鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 5, 2020)
タンボコオロギの成虫(オス).初夏に多いコオロギで休耕田などの湿った場所で見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 7, 2020)
ツマグロバッタの成虫(オス).翅の先や後脚の関節部が黒い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 6, 2020)
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