「東広島キャンパスのどんぐりのなる樹」の版間の差分
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− | <span style="font-size:10">[ | + | <span style="font-size:10">[https://www.hiroshima-u.ac.jp/index-j.html 広島大学] > [https://www.digital-museum.hiroshima-u.ac.jp/~museum/ デジタル自然史博物館] > [[メインページ]] > [[広島大学の自然]] > [[東広島キャンパスの植物]] > [[東広島キャンパスのどんぐりのなる樹]] </span> |
==東広島キャンパスのどんぐりのなる樹== | ==東広島キャンパスのどんぐりのなる樹== | ||
− | 「どんぐり」を作る植物の仲間をブナ科 | + | 「どんぐり」を作る植物の仲間をブナ科 Fagaceaeと言います.どんぐりは,ブナ科植物の果実で,どんぐり果[殻斗果(かくとか)や堅果(けんか)とも]と呼ばれます.いわゆるどんぐりの帽子になる殻斗(かくと)やクリで見られる毬(いが)と呼ばれる器官で果実が包まれるのがブナ科の特徴のひとつです. |
− | + | 広島県内から報告されているブナ科の植物は約20種です.東広島キャンパス内には,自生・植栽を含め19種程度の樹が生育しています. | |
− | == | + | ==どんぐりや葉の写真== |
− | + | キャンパス内でどんぐりが多く実る11種類の樹を紹介します.写真をクリックすると拡大します. | |
− | + | ||
+ | ===[[コナラ|コナラ(自生・植栽)]]=== | ||
+ | 広島県内に広く分布(しかし,宮島には分布していない).殻斗はうろこ状.葉やどんぐりの変異が大きく,他種との見分けが難しいことがあります. | ||
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− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170428コナラ雄花序_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_19418.JPG|250px|thumb|right|コナラの雄花序(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Apr. 28, 2017)]] |
+ | |[[ファイル:20170428コナラ樹皮_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_19417.JPG|200px|thumb|right|コナラの樹皮(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Apr. 28, 2017)]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20170929コナラ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1854_L512.JPG|250px|thumb|right|コナラ(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20170929コナラ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1855_L512.JPG|250px|thumb|right|コナラの葉(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161213コナラ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0858.JPG|250px|thumb|right|コナラの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[ナラガシワ|ナラガシワ(植栽)]]=== | |
+ | [[広島大学植物園]]の[[樹木園]]に植栽されています.葉には大きな鋸歯があり,葉柄が長い.殻斗はうろこ状で深くやや厚め. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:2160930ナラガシワ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_14683.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワ(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20160930ナラガシワ葉_広島大学植物園_池田撮影_IMG_14686.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワの葉.大きな鋸歯があり,葉柄が長い.(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20171013ナラガシワ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1871_L512.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワ(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
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− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20171013ナラガシワ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1873_L512.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワの葉(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20160930ナラガシワ堅果_広島大学植物園_池田撮影_IMG_14684.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワの堅果(どんぐり)(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20161213ナラガシワ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0870.JPG|250px|thumb|right|ナラガシワの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学植物園; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[クヌギ|クヌギ(植栽)]]=== | |
+ | 広島県内では,類似種の[[アベマキ]]の方が多く見られます.樹皮と葉の裏側で識別します.殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161007クヌギ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14885.JPG|250px|thumb|right|クヌギ(植栽)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20160930クヌギ樹皮_広島大学植物園_池田撮影_IMG_14698.JPG|200px|thumb|right|クヌギ(植栽)の樹皮(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20170929クヌギ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1852_L512.JPG|250px|thumb|right|クヌギ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
|- | |- | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170929クヌギ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1853_L512.JPG|250px|thumb|right|クヌギの葉.葉裏は緑色で光沢がある.(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161007クヌギ堅果と殻斗_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14887.JPG|250px|thumb|right|クヌギ(植栽)の堅果(右)と殻斗(左)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20161213クヌギ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0852.JPG|250px|thumb|right|クヌギの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[アベマキ|アベマキ(自生)]]=== | |
+ | [[クヌギ]]とよく似ていて混同されますが,樹皮や葉の裏側の毛を観察すると識別できます([[アベマキ]]は成長するとコルク状の樹皮になります).殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161007アベマキ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14841.JPG|250px|thumb|right|アベマキ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20151220アベマキ樹皮_呉市蒲刈町田戸_池田撮影_IMG_6578.JPG|200px|thumb|right|アベマキの樹皮(広島県呉市蒲刈町田戸(上蒲刈島); 撮影: 池田誠慈, Dec. 20, 2015)]] |
+ | |[[ファイル:20170929アベマキ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1838_L512.JPG|250px|thumb|right|アベマキ(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
|- | |- | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170929アベマキ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1844_L512.JPG|250px|thumb|right|アベマキの葉.葉裏は毛があり白い.(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161007アベマキ堅果_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14843.JPG|250px|thumb|right|アベマキの堅果(どんぐり)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20161213アベマキ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0859.JPG|250px|thumb|right|アベマキの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山産; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[ウバメガシ|ウバメガシ(植栽)]]=== | |
+ | 広島県内では,沿岸部や島しょ部で見られます.殻斗はうろこ状でやや薄く黄褐色の毛が密生.堅果の花柱の周りに毛があります.街路樹によく利用されています.備長炭の素材に使われるのは本種です. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル:20161213ウバメガシ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0867.JPG| | + | |[[ファイル:20171013ウバメガシ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_22757.JPG|250px|thumb|right|ウバメガシ(植栽)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
+ | |[[ファイル:20171013ウバメガシ樹皮_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_22754.JPG|200px|thumb|center|ウバメガシ(植栽)の樹皮(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20171013ウバメガシ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1867_L512.JPG|250px|thumb|right|ウバメガシ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20171013ウバメガシ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1868_L512.JPG|250px|thumb|right|ウバメガシの葉(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161213ウバメガシ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0867.JPG|250px|thumb|right|ウバメガシの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
+ | ===[[シラカシ|シラカシ(植栽)]]=== | ||
+ | 広島県の中部に分布.殻斗が輪状.卵形の堅果に縦筋が現れ熟します.「理学部・理学研究科の樹」に指定されています.理学部周辺に多く植栽されています. | ||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル:20161007シラカシ堅果_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14861.JPG|250px|thumb|right|シラカシ(植栽)の堅果(どんぐり)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161007シラカシ樹皮_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14867.JPG|200px|thumb|right|シラカシ(植栽)の樹皮(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20170929シラカシ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1830_L512.JPG|250px|thumb|right|シラカシ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20170929シラカシ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1848_L512.JPG|250px|thumb|right|シラカシの葉(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161007シラカシ堅果_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14872.JPG|250px|thumb|right|シラカシの堅果(どんぐり)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161213シラカシ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0864.JPG|250px|thumb|right|シラカシの堅果と殻斗(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
+ | |} | ||
− | + | ===[[アラカシ|アラカシ(自生・植栽)]]=== | |
+ | 構内に植栽されている他,ががら山など周辺の山に自生しています.殻斗が輪状.堅果は花柱よりがふくらみ縦筋が現れ熟します. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161007アラカシ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14822.JPG|250px|thumb|right|アラカシ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20161007アラカシ樹皮_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14826.JPG|200px|thumb|right|アラカシの樹皮(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Oct. 7, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20170929アラカシ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1834_L512.JPG|250px|thumb|right|アラカシ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20170929アラカシ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1846_L512.JPG|250px|thumb|right|アラカシの葉(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20160930アラカシ堅果_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14754.JPG|250px|thumb|right|アラカシの堅果(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161213アラカシ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0856.JPG|250px|thumb|right|アラカシの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[ウラジロガシ|ウラジロガシ(植栽)]]=== | |
+ | 広島県の中部から北部の,主として渓谷に分布し,沿岸部や島嶼部にも稀にあります.殻斗が輪状で薄く短毛が密生. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170222ウラジロガシ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1118.JPG|250px|thumb|right|ウラジロガシ(植栽)(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Feb. 22, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170222ウラジロガシ樹皮_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1119.JPG|200px|thumb|right|ウラジロガシ(植栽)の樹皮(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Feb. 22, 2017)]] |
|- | |- | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20171013ウラジロガシ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1869_L512.JPG|250px|thumb|right|ウラジロガシ(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20171013ウラジロガシ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1870_L512.JPG|250px|thumb|right|ウラジロガシの葉(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
+ | |[[ファイル:20161213ウラジロガシ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0866.JPG|250px|thumb|right|ウラジロガシの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[マテバシイ|マテバシイ(植栽)]]=== | |
+ | 広島県に自生はしませんが,街路樹などによく利用されています.どんぐりが大きく工芸品の加工に使われます.殻斗はうろこ状で浅い皿状.堅果は円柱に近い長卵形. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20160930マテバシイ_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14767.JPG|250px|thumb|right|マテバシイ(植栽)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20170222マテバシイ樹皮_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1121.JPG|200px|thumb|right|マテバシイ(植栽)の樹皮(広島大学植物園; 撮影: 池田誠慈, Feb. 22, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20170929マテバシイ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1849_L512.JPG|250px|thumb|right|マテバシイ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |- | ||
+ | |[[ファイル:20170929マテバシイ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1851_L512.JPG|250px|thumb|right|マテバシイの葉(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |[[ファイル:20160930マテバシイ堅果_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_14772.JPG|250px|thumb|right|マテバシイの堅果(けんか)(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 30, 2016)]] | ||
+ | |[[ファイル:20161213マテバシイ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0855.JPG|250px|thumb|right|マテバシイの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] | ||
|} | |} | ||
− | + | ===[[スダジイ|スダジイ(植栽)]]=== | |
+ | 広島県内の沿岸部・島しょ部に稀に逸出しています.民家や街路樹に植栽されるのは,広島県本来の自生の[[ツブラジイ|ツブラジイ(コジイ)]]より[[スダジイ]]の方が多いです.堅果は丸いしずく形.殻斗は熟すと裂ける. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170929スダジイ葉_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_22715.JPG|250px|thumb|right|スダジイ(植栽)の葉(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170929スダジイ樹皮_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_22716.JPG|200px|thumb|right|スダジイ(植栽)の樹皮.成長すると縦に切れ目が入る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] |
+ | |[[ファイル:20170929スダジイ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1858_L512.JPG|250px|thumb|right|スダジイ(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
|- | |- | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170929スダジイ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1859_L512.JPG|250px|thumb|right|スダジイの葉(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20161213スダジイ堅果と殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_0861.JPG|250px|thumb|right|スダジイの堅果(けんか)と殻斗(かくと)(広島県東広島市鏡山 広島大学東広島キャンパスの植栽木より; 撮影: 池田誠慈, Dec. 13, 2016)]] |
− | |||
|} | |} | ||
− | + | ===[[クリ|クリ(植栽)]]=== | |
+ | 県内に広く分布し,中国山地ではしばしば大木になる.ブナ林域の二次林であるクリ-コナラ群集を形成する.沿岸部のアカマツ林にも多い. | ||
{| | {| | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20170609クリ花序_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_19919.JPG|250px|thumb|right|クリ(植栽)の花序(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Jun. 9, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20160902_クリ実_広島大学植物園_池田撮影_IMG_13891.JPG|250px|thumb|right|クリの堅果(けんか)(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Sep. 2, 2016)]] |
+ | |[[ファイル:20171013クリ樹皮_東広島市鏡山北_池田撮影_IMG_22764.JPG|200px|thumb|center|クリの樹皮(広島県東広島市鏡山北; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
|- | |- | ||
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20171013クリ_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1863_L512.JPG|250px|thumb|right|クリ(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
− | |[[ファイル: | + | |[[ファイル:20171013クリ葉表裏_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1864_L512.JPG|250px|thumb|right|クリの葉(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] |
+ | |[[ファイル:20171013クリ堅果・殻斗_広島大学植物園_池田撮影_IMG_70D_1862_L512.JPG|250px|thumb|right|クリの殻斗(かくと)と堅果(けんか)(広島県東広島市鏡山 東広島植物園; 撮影: 池田誠慈, Oct. 13, 2017)]] | ||
|} | |} | ||
+ | |||
+ | ==似たものの比較== | ||
+ | *アベマキ・クヌギ・クリの鋸歯と葉脈の比較.クリックして拡大. | ||
+ | {| | ||
+ | |[[ファイル:20170929アベマキ・クヌギ・クリ鋸歯_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_22683_22685_22690_L600.JPG|250px|thumb|none|鋸歯と葉脈の比較.左から,[[アベマキ]],[[クヌギ]],[[クリ]].(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Sep. 29, 2017)]] | ||
+ | |} | ||
+ | |||
+ | ==生育中の樹== | ||
+ | まだどんぐりは実りませんが,[[東広島植物園]]などで生育中の樹を紹介します. | ||
+ | ===[[ミズナラ]]=== | ||
+ | [[東広島植物園]]で低木が生育中(1996年広島県臥竜山産). | ||
+ | |||
+ | ===[[カシワ]]=== | ||
+ | [[東広島植物園]]で苗が生育中.2017年広島県東広島市志和町内産. | ||
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+ | ===[[アカガシ]]=== | ||
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*[[広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所_2009|広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(編), 坪田博美・向井誠二. 2009. 宮島の植物と自然, 8版. 160 pp. 広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所, 廿日市.]] | *[[広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所_2009|広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(編), 坪田博美・向井誠二. 2009. 宮島の植物と自然, 8版. 160 pp. 広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所, 廿日市.]] | ||
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2020年11月30日 (月) 14:56時点における版
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東広島キャンパスのどんぐりのなる樹
「どんぐり」を作る植物の仲間をブナ科 Fagaceaeと言います.どんぐりは,ブナ科植物の果実で,どんぐり果[殻斗果(かくとか)や堅果(けんか)とも]と呼ばれます.いわゆるどんぐりの帽子になる殻斗(かくと)やクリで見られる毬(いが)と呼ばれる器官で果実が包まれるのがブナ科の特徴のひとつです.
広島県内から報告されているブナ科の植物は約20種です.東広島キャンパス内には,自生・植栽を含め19種程度の樹が生育しています.
どんぐりや葉の写真
キャンパス内でどんぐりが多く実る11種類の樹を紹介します.写真をクリックすると拡大します.
コナラ(自生・植栽)
広島県内に広く分布(しかし,宮島には分布していない).殻斗はうろこ状.葉やどんぐりの変異が大きく,他種との見分けが難しいことがあります.
ナラガシワ(植栽)
広島大学植物園の樹木園に植栽されています.葉には大きな鋸歯があり,葉柄が長い.殻斗はうろこ状で深くやや厚め.
クヌギ(植栽)
広島県内では,類似種のアベマキの方が多く見られます.樹皮と葉の裏側で識別します.殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です.
アベマキ(自生)
クヌギとよく似ていて混同されますが,樹皮や葉の裏側の毛を観察すると識別できます(アベマキは成長するとコルク状の樹皮になります).殻斗はとげ状(鱗片は線形で長く伸び固い).どんぐりと殻斗のみの識別は困難です.
ウバメガシ(植栽)
広島県内では,沿岸部や島しょ部で見られます.殻斗はうろこ状でやや薄く黄褐色の毛が密生.堅果の花柱の周りに毛があります.街路樹によく利用されています.備長炭の素材に使われるのは本種です.
シラカシ(植栽)
広島県の中部に分布.殻斗が輪状.卵形の堅果に縦筋が現れ熟します.「理学部・理学研究科の樹」に指定されています.理学部周辺に多く植栽されています.
アラカシ(自生・植栽)
構内に植栽されている他,ががら山など周辺の山に自生しています.殻斗が輪状.堅果は花柱よりがふくらみ縦筋が現れ熟します.
ウラジロガシ(植栽)
広島県の中部から北部の,主として渓谷に分布し,沿岸部や島嶼部にも稀にあります.殻斗が輪状で薄く短毛が密生.
マテバシイ(植栽)
広島県に自生はしませんが,街路樹などによく利用されています.どんぐりが大きく工芸品の加工に使われます.殻斗はうろこ状で浅い皿状.堅果は円柱に近い長卵形.
スダジイ(植栽)
広島県内の沿岸部・島しょ部に稀に逸出しています.民家や街路樹に植栽されるのは,広島県本来の自生のツブラジイ(コジイ)よりスダジイの方が多いです.堅果は丸いしずく形.殻斗は熟すと裂ける.
クリ(植栽)
県内に広く分布し,中国山地ではしばしば大木になる.ブナ林域の二次林であるクリ-コナラ群集を形成する.沿岸部のアカマツ林にも多い.
似たものの比較
- アベマキ・クヌギ・クリの鋸歯と葉脈の比較.クリックして拡大.
生育中の樹
まだどんぐりは実りませんが,東広島植物園などで生育中の樹を紹介します.
ミズナラ
東広島植物園で低木が生育中(1996年広島県臥竜山産).
カシワ
東広島植物園で苗が生育中.2017年広島県東広島市志和町内産.
アカガシ
東広島植物園で低木が生育中.
ツクバネガシ
東広島植物園で苗が生育中.どんぐりも採取して育成中です(2020年採取).
イチイガシ
国際の森で低木が生育中.社叢林にまれに植栽されています.広島県の真の自生は呉市に1か所のみとされています.どんぐりを採取して育成中です(2020年採取).
オキナワウラジロガシ
奄美と琉球に分布.東広島植物園の大温室で生育中.日本最大級のどんぐりが実る樹ですがまだどんぐりは実ったことがないです.
シリブカガシ
広島大学植物園で苗が生育中.
ツブラジイ(コジイ)
生物生産学部で1本生育中.東広島植物園には2004年広島県呉市蒲刈町(上蒲刈島)産の鉢植えの低木があります.どんぐりも採取して育成中です(2020年採取).
文献(引用)
- いわさゆうこ・八田洋章. 2010. どんぐりハンドブック. 80 pp. 文一総合出版, 東京.
- 広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(編), 坪田博美・向井誠二. 2009. 宮島の植物と自然, 8版. 160 pp. 広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所, 廿日市.
関連ページ
- 東広島キャンパスの動植物の最新情報
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