宮島の植生 宮島の植物と自然

提供: 広島大学デジタル博物館
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宮島の植生

弥山原始林の植生と植物

 瀰山(みせん)(以下,弥山と表記)原始林(げんしりん)は,弥山(535 m)の北斜面一帯の森林を指しており,宮島では最も自然が保たれてきた場所です.弥山原始林の植生(しょくせい)は,大きく分けると,山麓部(さんろくぶ)の緩斜面(かんしゃめん)と海抜(かいばつ)300 mよりも低い山地,300 m以上の山地の三つの部分に分けられます.また,アカマツが多く見られる天然の二次林(にじりん)も存在します.

1.山麓部の緩斜面

 宮島では,山麓部の緩斜面にはクスノキが見られる林(クスノキ–クマノミズキ群落(ぐんらく))が,大元公園(おおもとこうえん)や紅葉谷公園(もみじだにこうえん)付近ではモミミミズバイが多く見られる林(モミ–ミミズバイ群落)が見られます.これらの森林では,モミクスノキ,カヤ,ミミズバイカンザブロウノキシキミアセビイヌガシシロダモ,タイミンタチバナ,ホウロクイチゴハスノハカズラ,イズセンリョウ,ヒメイタビ,キッコウハグマなどの植物が見られます.

2.海抜300 mよりも低い山地

 宮島では,海抜300 mよりも低い山地の斜面にはコジイなどの植物が見られるコジイ群落が発達します.タイミンタチバナ,シリブカガシトキワガキ,ウバメガシ,ミミズバイなどは300 mよりも低い所に出現(しゅつげん)します.この森林では,ブナ科(か)(コジイ,シリブカガシアラカシ)やツバキ科(ヤブツバキサカキヒサカキ,モッコク),クスノキ科(シロダモイヌガシ,ヤブニッケイ),ハイノキ科(クロキクロバイミミズバイカンザブロウノキ),モクセイ科のネズミモチ,バラ科のカナメモチ,シキミ科のシキミなどの照葉樹(しょうようじゅ)が豊富(ほうふ)です.また,サカキカズラテイカカズラマツブサ,ウラジロマタタビ,ミツバアケビ,サンカクヅルなどの木生(もくせい)つる植物も多く見られ,林床(りんしょう)にはベニシダ類などの陰生(いんせい)植物がみられます.

「宮島の植物と自然」内のページ

「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.

  • 12-17 pp.

文献(引用)