「宮島の植生 宮島の植物と自然」の版間の差分
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2015年4月4日 (土) 16:01時点における版
宮島の植生
弥山原始林の植生と植物
瀰山(みせん)(以下,弥山と表記)原始林(げんしりん)は,弥山(535 m)の北斜面一帯の森林を指しており,宮島では最も自然が保たれてきた場所です.弥山原始林の植生(しょくせい)は,大きく分けると,山麓部(さんろくぶ)の緩斜面(かんしゃめん)と海抜(かいばつ)300 mよりも低い山地,300 m以上の山地の三つの部分に分けられます.また,アカマツが多く見られる天然の二次林(にじりん)も存在します.
1.山麓部の緩斜面
宮島では,山麓部の緩斜面にはクスノキが見られる林(クスノキ–クマノミズキ群落(ぐんらく))が,大元公園(おおもとこうえん)や紅葉谷公園(もみじだにこうえん)付近ではモミやミミズバイが多く見られる林(モミ–ミミズバイ群落)が見られます.これらの森林では,モミやクスノキ,カヤ,ミミズバイ,カンザブロウノキ,シキミ,アセビ,イヌガシ,シロダモ,タイミンタチバナ,ホウロクイチゴ,ハスノハカズラ,イズセンリョウ,ヒメイタビ,キッコウハグマなどの植物が見られます.
2.海抜300 mよりも低い山地
宮島では,海抜300 mよりも低い山地の斜面にはコジイなどの植物が見られるコジイ群落が発達します.タイミンタチバナ,シリブカガシ,トキワガキ,ウバメガシ,ミミズバイなどは300 mよりも低い所に出現(しゅつげん)します.この森林では,ブナ科(か)(コジイ,シリブカガシ,アラカシ)やツバキ科(ヤブツバキ,サカキ,ヒサカキ,モッコク),クスノキ科(シロダモ,イヌガシ,ヤブニッケイ),ハイノキ科(クロキ,クロバイ,ミミズバイ,カンザブロウノキ),モクセイ科のネズミモチ,バラ科のカナメモチ,シキミ科のシキミなどの照葉樹(しょうようじゅ)が豊富(ほうふ)です.また,サカキカズラ,テイカカズラ,マツブサ,ウラジロマタタビ,ミツバアケビ,サンカクヅルなどの木生(もくせい)つる植物も多く見られ,林床(りんしょう)にはベニシダ類などの陰生(いんせい)植物がみられます.
3.300 m以上の山地
海抜300 m以上の斜面には,モミ– アカガシ群落が発達します.アカガシ,ウラジロガシ,ツクバネガシ,ハイノキ,ミヤマシキミなどは,おもに300 m以上の山地で見られます.この森林では,モミやツガ,アカガシ,ツクバネガシ,ウラジロガシ,カゴノキ,イヌガシ,シロダモ,ヤブニッケイ,シキミ,ソヨゴ,クロバイ,ハイノキ,ヤブツバキ,ヒサカキ,サカキなどが出現します.林床(りんしょう)には,ミヤマシキミ,サンヨウアオイ,ベニシダ類などの陰生(いんせい)植物が見られます.
4. 二次林
弥山原始林内の二次林として,アカマツニ次林(アカマツ–クロバイ群落)があります.アカマツニ次林にはクロバイやヤブツバキなどの照葉樹の他に,ネジキ,リョウブ,ウリハダカエデ,コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹が混生(こんせい)し,林床には陽生(ようせい)植物のコシダやウラジロが密生(みっせい)する傾向があります.ネズやヤマツツジ,ススキ,ガンピ,ミヤジマママコナなどの陽生植物を持つ型(かた)とイヌガシやシロダモなどの陰生植物を持つ型に分けられます.
「宮島の植物と自然」内のページ
「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.
- 12-17 pp.