宮島の植物と植生

提供: 広島大学デジタル自然史博物館 植物
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海から望む広島県廿日市市宮島 Miyajima Is., Hiroshima, SW Japan(撮影: 坪田博美; May 21, 2007)

目次

宮島の自然

宮島は1996年に,人類共通の貴重な財産であるとして,ユネスコの世界道産に登録された.世界道産の対象とされたのは、厳島神社と人の影響からのがれ豊かな自然を残 している弥山原始林の部分であるが、宮島の自然は海も含めて全島に貴重なものを有し ている。

宮島の植物相(植物の種類)と植生(植物の社会)の特徴

宮島は本土と近い位置にありながら、植物の種類が本土とは著しく異なる。 たくさんの希少種が存在する。オオカグマ、カギカズラ、カンコノキ、カンザブロウノキ、コケセンボンギク、コテリハキンバイ、コバンモチ、ミヤジマシモッケ、シロバイ、シバナ、ヒメハシゴシダ、ヒナノシャクジョウ、ホウライカズラ、ホウロクイチゴ、ホンゴウソウ、マツバラン、ミミズバイ、モロコシソウ、ヤマモガシなど。 宮島の植物相は豊富であり、723種の維管束植物が確認されている。 寒いところに生息する植物と暖かいところに生息する植物が共存している。 希少植物でなく普通に見られる植物であっても人の影響を免れて、自然の状態で生活していることに価値がある。 豊かな自然植生がある:ハマゴウ群落、ヒトモトススキ群落、モミ-ミミズバイ群落、モミ・ツガ群落、コジイ群落、ヒノキ・コウヤマキ群落など。 沢山の希少種がある反面、本土や他の島には普通に見られる植物が少ない。特に里山の植物が欠如しているかきわめて少ない:アベマキ、イヌツゲ、コナラ、クリ、ナツハゼ、ネザサ、フジなど多数。 人里や路傍植生の植物が少ない:ウツボグサ、キンミズヒキ、ササクサ、スギナ、スズメノテッポウ、チヂミザサ、ツリガネニンジン、ノアザミ、ノビル、ヒバンバナ。

宮島の植物が豊かに保たれてきたのはなぜか?

宮島は周囲30kmの島である。一般に島は外界と隔離されていることから、島への生物の進入と定着のプロセス、それに続く生物の進化、生態遷移、帰化植物の侵入と拡散が明瞭な形でとらえられる。宮島は少なくとも7世紀以後は神の島として全島が保護され、人の影響をあまり受けることなく今日に至った。全く人が森林を伐採しなかったというのでなく、許可を得て適当に利用したようであり、全島の9害|Iはアカマツニ次林となり、林内には炭焼き窯の遺跡もある。しかし、本土(こ比べてはるかに自然性の高い二次林である。宮島の自然がよく保たれてきた最大の要因は、水田耕作を中心とした農業が営まれてこなかったことであり、里山が見られないことである。宮島には、年間250~300万人の観光客が訪れており、植生にかなりの影響を及ぼし続けてきたが、植生に与える人の影響は宮島の森林を里山化させる方向には作用していない。

宮島以外の島の植生は本土と似ている

 人の住む島では、宮島よりも、本土から離れた位置の島であっても、本土と似た植生になっている。外界から隔離された島であっても、どの島にも特異な植生が存在するわ'ナではない。宮島だけが特異な植生を保持しているのである。宮島ではほとんど稲作農業が行われなかったことにより里山が形成されなかったことから、特異な植生を保つことができたと思われる。小さな無人島では特異な植生が見られるが、それほど豊かな植物相は見られない。

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