モミジについて
モミジとその仲間
モミジという標準和名をもつ植物は存在せず,カエデ属Acerの植物の総称としてモミジが用いられる.カエデ属の植物は世界で140種程度あり,おもに北半球に分布する.その中でも,日本や中国といった東アジア地域に多くの種が分布する.カエデ属植物の特徴は,落葉性で,単葉または羽状複葉の葉が向かい合って枝につき(対生),果実は二つに別れ,それぞれ大きな翼をもち,種子を一つ含むことなどである.果実は成熟するとくるくると回りながら落下する.葉は掌状のものが多い.
カエデ科Aceraceaeは約150種ほどがあるが,おもに温帯に分布し,落葉木本が多く,そのほとんどがカエデ属に属す.カエデ科にはカエデ属以外に中国産のキンセンセキ属Dipteroniaなどがある.カエデ科は分子系統学的な研究により,ムクロジ科に含まれることが明らかになっており,APG分類体系ではムクロジ科に含められる.
宮島でみられるモミジ・カエデの仲間
関ほか(1975)によれば,コハウチワカエデとイロハモミジ(タカオカエデ,イロハカエデ),オオモミジ,ヤマモミジ,ミヤジマカエデ,テツカエデ,ウリカエデ,ウリハダカエデ,トウカエデが報告されている.広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)で,これまで広島県からヤマモミジと報告されたもの(堀川ほか 1959,山下 1988など)はオオモミジであると述べられている.