ヒバサンショウウオ
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ヒバサンショウウオ Hynobius utsunomiyaorum
分類
動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 両生綱 Amphibia > 有尾目 Caudata > サンショウウオ科 Hynobiidae > サンショウウオ属 Hynobius > ヒバサンショウウオ Hynobius utsunomiyaorum
解説
- 近年,中国地方のカスミサンショウウオ種群の分類が大変混乱しているため,本サイトでは日本爬虫両棲類学会の日本産爬虫両生類標準和名リストを基準にしつつも,広島県レッドデータブック2021(広島県 2022)の一覧を踏襲する.
- 本州(愛知県以西)・四国・九州・壱岐島に分布する日本固有種をカスミサンショウウオ1種としていたが,9種に再分類された(Matsui et al. 2019).
- 広島県では,県南部から中国山地にかけてアキサンショウウオ Hynobius akiensis,イワミサンショウウオ Hynobius iwami,セトウチサンショウウオ Hynobius setouchi,ヒバサンショウウオ Hynobius utsunomiyaorumの4種が生息.
- 本種の県内の分布は中国山地.かつて「カスミサンショウウオ高地型」と報告されていたものに相当する.
- 非繁殖期に成体を見つけるのは困難.繁殖期のピークは4~5月.
- 繁殖期のオスは下あごが白くなり,総排泄腔周辺が大きく膨らむのでメスと区別できる.
- ふ化した幼生の多くは秋までに変態するが,一部越冬する.
- DNAの解析では,ハクバサンショウウオ Hynobius hidamontanusと近縁であることが分かっている.
- 基準産地は広島県庄原市.古くから比婆地方と呼ばれていたことが和名の由来.種小名のutsunomiyaorumは,「宇都宮夫妻の」の意味で,本種の発見に貢献した広島県の両生類研究家,故宇都宮泰明・妙子夫妻にちなんだもの.
- 本種も含め,Hynobius属のサンショウウオは幼生や幼体,成体の飼育は難しく,特に飼育下での繁殖は困難である.安易な採集は厳に避けるべきである.
天然記念物・RDB
- 環境省RDBカテゴリ:絶滅危惧II類(VU)
- 広島県RDBカテゴリ(2003):絶滅危惧II類(VU)(カスミサンショウウオとして)
- 広島県RDBカテゴリ(2011):絶滅危惧II類(VU)(カスミサンショウウオとして)
- 広島県RDBカテゴリ(2021):絶滅危惧II類(VU)
慣用名・英名・広島県方言
慣用名
- ヒバ
英名
- hiland salamander
広島県方言
- かく(チュウゴクブチサンショウウオの幼生の地方名と混用)
他県では
- はたけどじょう(奈良県)
- やぶどじょう(滋賀県)
- とことこ(壱岐島)
ギャラリー
備考
参考文献
- 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島.
- 松井正文. 1979. 原色両生・爬虫類. 108 p. 家の光協会, 東京.
- 松井正文・関慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京.
- Matsui, M., Okawa, H., Nishikawa, K., Aoki, G., Eto, K., Yoshikawa, N., Tanabe, S. Misawa, Y. & Tominaga, A. 2019. Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives. Current Herpetol. 38(1): 32-90.
- 中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 214 pp. 保育社, 大阪.
- 大川博志. 2012. カスミサンショウウオ. 広島県の絶滅のおそれのある野生生物, 3版. 97 p. 広島県, 広島.
- Okawa, H. and Utunomiya, T. 1989. Hunobius nebulosus from Hiroshima Prefecture. Current Herpetology in East Asia. 142-146.
- 大川博志・宇都宮妙子・宇都宮泰明・内藤順一. 1990. 広島県のカスミサンショウウオ. 比婆科学 146: 49-53.
- 大川博志・宇都宮妙子・宇都宮泰明・内藤順一. 1998. 広島県のカスミサンショウウオ(2). 比婆科学 188: 13-18.
- 大川博志・宇都宮妙子・奥野隆史. 1999. 後肢趾が4本のカスミサンショウウオの集団について. 比婆科学 192: 47-52.
- 大川博志・奥野隆史・宇都宮妙子. 2009. 西日本のカスミサンショウウオの後肢趾の変異. 爬虫両棲類学会報 2009(1): 12-18.
- 佐藤井岐雄. 1943. 日本産有尾類総説. 536 pp. 日本出版社, 大阪.
- 宇都宮妙子・宇都宮泰明・大川博志・内藤順一. 1996. 広島県灰塚ダム周辺地域の両生類. 灰塚の自然. 177-215. 建設省.
更新履歴
- 2019.04.01 ページ作成.
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