「セツブンソウ」の版間の差分

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== シノニム ==
 
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=== その他 ===
 
=== その他 ===
* ''Fimbristylis'' ''autumnalis'' (Linn.) Roem. et Schult.(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)
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* ''Shibateranthis'' ''pinnatifida'' (Maxim.) Satake et Okuyama(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)
  
* ''Platanthera'' ''florentii'' Franch. et Savat.(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)
 
 
== 分類 ==
 
== 分類 ==
 
種子植物門 Spermatophyta
 
種子植物門 Spermatophyta

2011年7月4日 (月) 10:32時点における版

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セツブンソウ Shibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake & Okuyama

キンポウゲ科 Ranunculaceae

シノニム

その他

  • Shibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake et Okuyama(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)

分類

種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 双子葉植物綱 Dicotyledoneae > キンポウゲ科 Ranunculaceae > カラマツソウ属 Thalictrum

解説

吉備高原面で県東部に分布が偏っている.人家の裏・果樹園・墓地など定期的に草刈りが行われるような環境に群生する.日当たりのよい場所では2月上旬から開花し,3月上旬が見ごろである.総領町では本種の保護につとめ,花の時期には多数の観光客が訪れている.総領町天「田総川流域のセツブンソウ」,三良坂町天「セツブンソウ(全域)」.

セツブンソウShibateranthis pinnatifida (Maxim.) Satake & Okuyamaは節分の頃に開花しはじめるので,その名がある.総領町でも日当たりのより場所では、ほんとうに2月上旬には開花するものがある。セツブンソウはキンポウゲ科に属し、その中でクリスマスローズ亜科(Helleboroideae)に位置する。この亜科はキンポウゲ科の中でも原始的な群で、染色体は大きく、基本数は8または7、まれに6である。雌しべは多数の胚珠(将来、種子になる)をつけ、果実は袋果(心皮が融合せず分離する)である。日本産の本亜科には、リュウキンカ属(Caltha)、キンバイソウ属(Trollius)、レンゲショウマ属(Anemonopsis)、サラシナショウマ属(Cimicifuga)、ルイヨウショウマ属(Actaea)、セツブンソウ属(Shibateranthis)およびトリカブト属 (Aconitum)がある。

セツブンソウは、これまで、ヨーロッパに分布するEranthis属に置かれることが多かった。しかし、 Eranthis属は地下茎が横に伸びる軸が連なり、年々新しい部分をつくって伸長すること、萼片が黄色、花弁は筒状、子葉は2枚などの点で Shibateranthis属とは区別される。セツブンソウ属には7種あり、中央アジア、シベリア、中国、朝鮮半島、日本に分布する。セツブンソウ属は花弁が萼片よりはるかに小さく、蜜腺をもつ点で、キンバイソウ属(Trollius)に近縁である。セツブンソウ属の注目すべき特徴は、芽生えの子葉が1 枚であることで、これはキンポウゲ目(Ranunculares)が単子葉植物に類縁があるという説の有力な証拠となっている。セツブンソウは本州の関東地方から西に分布し、広島県はほぼその西の端にあたる。

セツブンソウは典型的な春植物(spring ephemeral)である。春植物は早春に開花して、やがて初夏には地上部は枯れて、地下部で夏・秋・冬を過ごす。春植物の英語は、その地上部の期間の短いことから、カゲロウ類のモンカゲロウ属(Ephemera)の名にちなんでいる。

春植物はラウンケル(Raunkiaer)の生活形では、地中植物(geophytes)にあたる。ラウンケルの生活形は、植物が寒さや乾燥など不適な季節をどうやって過ごすかによって類型化したものである。ある地域の植物相をラウンケルの生活形によって分類することにより、その地域の気候を表すことができる。これを植物気候という。地中植物は温帯で比率が高くなる。


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セツブンソウの自生地のようす.(平成11年2月21日 甲奴郡総領町)


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セツブンソウ.(平成11年2月21日 甲奴郡総領町)


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セツブンソウ.(平成11年2月21日 甲奴郡総領町)

花期

分布・産地・天然記念物

分布

  • 広島県北部.庄原市総領町のセツブンソウは保護され,観光地となっている.

産地

天然記念物

標本

  • 三良坂町(yy-8470),総領町(yw-8140),吉舎町(ts-14798),油木町(sf-6447),福山市(sf-4),新市町(um-770320)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

英名

広島県方言

備考

  • 広島県RDBカテゴリ: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
  • 環境庁RDBカテゴリ: 絶滅危惧II類(VU)
  • 環境庁コード: 18620
  • 環境庁RDB,県RDB

文献(出典)

  • 河毛(1974),伊藤秀三(1975),井波(1981),井波一雄・三上幸三(1981),土井(1983),山下(1988),広島県(1995),関ほか(1996),広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)

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