「クスノキの仲間 宮島の植物と自然」の版間の差分

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目次

クスノキ科の植物

 クスノキ科Lauraceaeの植物は,植物体を傷つけると肉桂(にっけい)のような芳香(ほうこう)を放つものが多く見られます.これは精油成分(せいゆせいぶん)(おもに芳香をもった揮発性(きはつせい)の油)を含む組織があるためです.花が小さく目立たないものが多く,液果(えきか)で鳥散布(とりさんぷ)するものが多く見られます.宮島で見られるクスノキ科植物には,クスノキシロダモイヌガシ,カゴノキなどがあります.宮島では他に,葉が互生でクサギのように続けて2枚が同じ側から出るという特徴をもつヤブニッケイCinnamomum tenuifolium (Makino) Sugim. ex H.Hara があります.料理に使われる月桂樹(げっけいじゅ)Laurus nobilis L. や,森のバターと呼ばれるアボガドPersea americana Mill. も同じクスノキ科.

ダニ室

 クスノキ科の植物は熱帯を中心に分布していますが,ダニ室と呼ばれるふくらみをもつものが多く見られます.クスノキなどでは,大きく3本に分かれた葉脈の基部(きぶ)に,表から見るとふくらみがあります.これを裏から見ると小さな穴が開いています.これをダニ室と呼び,中にダニ類(ハダニ科 に近縁のフシダニなど)が住んでいます.若い葉などでは発達が悪く,穴がない場合もあります.

 ダニにはさまざまな種類があり,植物寄生性(きせいせい)(草食性)のダニと,他のダニを食べる捕食性(ほしょくせい)(肉食性)のダニがいます.植物寄生性ダニのフシダニ類には,クスノキの葉に虫こぶ(虫えい)を作るものと,クスノキに無害なものがいます.捕食性ダニは虫こぶを作るフシダニの天敵(てんてき)になります.これを利用して,クスノキの仲間は捕食性ダニを葉の上に住まわせて,虫こぶを作るフシダニを排除するしくみを進化の過程で発達させました.クスノキの仲間は,捕食性ダニを居着かせるための方法として,ダニ室という飼育室をつくり,その中で自分自身には無害なフシダニを飼って,このフシダニが捕食性ダニの餌となり,捕食性ダニを居着かせていると考えられています.クスノキ科の植物が多く見られる熱帯では,さまざまなダニが存在します.中には植物に害を与えるダニもいます.それを排除するために,植物が動物と共生関係(きょうせいかんけい)を進化させている例が多く見られます.

クスノキの仲間
種名 冊子中のページ数
クスノキ 76-77 pp.
シロダモ 78 p.
イヌガシ 79 p.

「宮島の植物と自然」内のページ

「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.

  • 74-79 pp.

文献(引用)


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