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[[ファイル:20150801クサガメオス(黒化)_三原市沼田東町_池田撮影_IMG_2931.JPG|200px|thumb|right|黒化したクサガメのオス.クサガメはニホンイシガメに比べ頭部が大型.クサガメのオスは黒化して虹彩が黒くなり,側頭部や頸部(けいぶ)の黄緑色の不規則な線や斑紋が消失する.(広島県三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Aug. 1, 2015)]] | [[ファイル:20150801クサガメオス(黒化)_三原市沼田東町_池田撮影_IMG_2931.JPG|200px|thumb|right|黒化したクサガメのオス.クサガメはニホンイシガメに比べ頭部が大型.クサガメのオスは黒化して虹彩が黒くなり,側頭部や頸部(けいぶ)の黄緑色の不規則な線や斑紋が消失する.(広島県三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Aug. 1, 2015)]] | ||
[[ファイル:20150909クサガメオス(黒化)_三原市沼田東町_池田撮影_IMG_4197.JPG|200px|thumb|right|黒化したクサガメのオス.虹彩が黒くなり,側頭部や頸部(けいぶ)の黄緑色の不規則な線や斑紋が消失している.(広島県三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Sep. 9, 2015)]] | [[ファイル:20150909クサガメオス(黒化)_三原市沼田東町_池田撮影_IMG_4197.JPG|200px|thumb|right|黒化したクサガメのオス.虹彩が黒くなり,側頭部や頸部(けいぶ)の黄緑色の不規則な線や斑紋が消失している.(広島県三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Sep. 9, 2015)]] | ||
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[[ファイル:20150802クサガメオス(黒化)背甲腹甲_世羅郡世羅町_池田撮影_IMG_3006_3007.JPG|200px|thumb|right|クサガメの背甲(左)と腹甲(右).背甲には発達した3本の隆条(キール)をもち,後縁は鋸歯状にならない.この個体はオスで黒化しており,腹甲の黄色い縁取りが消失している.(広島県世羅郡世羅町; 撮影: 池田誠慈, Aug. 2, 2015)]] | [[ファイル:20150802クサガメオス(黒化)背甲腹甲_世羅郡世羅町_池田撮影_IMG_3006_3007.JPG|200px|thumb|right|クサガメの背甲(左)と腹甲(右).背甲には発達した3本の隆条(キール)をもち,後縁は鋸歯状にならない.この個体はオスで黒化しており,腹甲の黄色い縁取りが消失している.(広島県世羅郡世羅町; 撮影: 池田誠慈, Aug. 2, 2015)]] | ||
− | = クサガメ ''Mauremys reevesii'' | + | =クサガメ ''Mauremys reevesii'' |
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動物界 Animalia | 動物界 Animalia | ||
> 脊索動物門 Chordata | > 脊索動物門 Chordata | ||
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> イシガメ属 ''Mauremys'' | > イシガメ属 ''Mauremys'' | ||
− | == 解説 == | + | ==解説== |
− | * 本州や四国,九州,佐渡島,淡路島,隠岐,見島,対馬,壱岐,五島列島に分布.国外では朝鮮半島や中国東南部,台湾に分布. | + | *本州や四国,九州,佐渡島,淡路島,隠岐,見島,対馬,壱岐,五島列島に分布.国外では朝鮮半島や中国東南部,台湾に分布. |
− | * 広島県ではダムやため池,河川,水田や用水路などに広く分布している.[[ニホンイシガメ]]と比較して平地に多い. | + | *広島県ではダムやため池,河川,水田や用水路などに広く分布している.[[ニホンイシガメ]]と比較して平地に多い. |
− | * 背甲は黒褐色,発達した3本の隆条(キール)をもち,後縁は鋸歯状にならない. | + | *背甲は黒褐色,発達した3本の隆条(キール)をもち,後縁は鋸歯状にならない. |
− | * 頭部は大型で,側頭部の鱗は小鱗に分かれている. | + | *頭部は大型で,側頭部の鱗は小鱗に分かれている. |
− | * 腹甲は周囲が明るい黄色に細く縁どられる. | + | *腹甲は周囲が明るい黄色に細く縁どられる. |
− | * 側頭部や頸部(けいぶ)に黄緑色の不規則な線や斑紋があるが成熟したオスでは消失する(オスの成体の黒化). | + | *側頭部や頸部(けいぶ)に黄緑色の不規則な線や斑紋があるが成熟したオスでは消失する(オスの成体の黒化). |
− | * そのため[[ニホンイシガメ]]と識別する際,側頭部や頸部の線や斑紋は必ずしも識別形質にならず,甲羅の隆条や後縁部が鋸歯状であるかどうか,頭部の大きさ,腹甲の縁どりなどを総合して同定しなければならない. | + | *そのため[[ニホンイシガメ]]と識別する際,側頭部や頸部の線や斑紋は必ずしも識別形質にならず,甲羅の隆条や後縁部が鋸歯状であるかどうか,頭部の大きさ,腹甲の縁どりなどを総合して同定しなければならない. |
− | * 尾を後方に伸ばした際に総排泄腔が背甲の後縁より外側ならばオス,内側ならばメスだが,幼体では判別が難しい. | + | *尾を後方に伸ばした際に総排泄腔が背甲の後縁より外側ならばオス,内側ならばメスだが,幼体では判別が難しい. |
− | * [[ニホンイシガメ]]と分布が重なる場所では交雑例があることが知られており「ウンキュウ」の名で呼ばれることがある.雑種は稔性(ねんせい)をもち,雑種同士やクサガメ,[[ニホンイシガメ]]と交雑することがある. | + | *[[ニホンイシガメ]]と分布が重なる場所では交雑例があることが知られており「ウンキュウ」の名で呼ばれることがある.雑種は稔性(ねんせい)をもち,雑種同士やクサガメ,[[ニホンイシガメ]]と交雑することがある. |
− | * 日本での本種の化石の出土がないことや最古の文献記録が200年ほど前の九州北部に限定されること,そして近年のミトコンドリアDNAの解析から,本種は韓国や中国といった大陸起源の外来種ではないかと推定されている. | + | *日本での本種の化石の出土がないことや最古の文献記録が200年ほど前の九州北部に限定されること,そして近年のミトコンドリアDNAの解析から,本種は韓国や中国といった大陸起源の外来種ではないかと推定されている. |
− | == 天然記念物・RDB == | + | ==天然記念物・RDB== |
− | == 慣用名・英名・広島県方言 == | + | ==慣用名・英名・広島県方言== |
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− | * キンセンガメ | + | *キンセンガメ |
− | * ゼニガメ(幼体のことを指して) | + | *ゼニガメ(幼体のことを指して) |
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− | * Reeve's pond turtle | + | *Reeve's pond turtle |
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− | == 参考文献 == | + | ==参考文献== |
− | * 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島. | + | *比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島. |
− | * 千石正一. 1979. クサガメ. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 8-9. 家の光協会, 東京. | + | *千石正一. 1979. クサガメ. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 8-9. 家の光協会, 東京. |
− | * 中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 214 pp. 保育社, 大阪. | + | *中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 214 pp. 保育社, 大阪. |
− | * 鈴木 大. 2012. 遺伝的変異から見たニホンイシガメの進化史と日本産クサガメの外来性について. クリーパー 61: 47-57. | + | *鈴木 大. 2012. 遺伝的変異から見たニホンイシガメの進化史と日本産クサガメの外来性について. クリーパー 61: 47-57. |
− | * Suzuki, D., Ota, H., Oh, H.-S. & Hikida, T. 2011. Origin of Japanese populations of Reeves' pond turtle, ''Mauremys reevesii'' (Reptilia: Geoemydidae), as inferred by a molecular approach. Chelonian Cons. Biol. 10: 237-249. | + | *Suzuki, D., Ota, H., Oh, H.-S. & Hikida, T. 2011. Origin of Japanese populations of Reeves' pond turtle, ''Mauremys reevesii'' (Reptilia: Geoemydidae), as inferred by a molecular approach. Chelonian Cons. Biol. 10: 237-249. |
− | * 安川雄一郎. 1996. クサガメ. 日本動物大百科 5, pp. 59, 62-63. 平凡社, 東京. | + | *安川雄一郎. 1996. クサガメ. 日本動物大百科 5, pp. 59, 62-63. 平凡社, 東京. |
− | * 安川雄一郎. 2007. イシガメ属とその近縁属の分類と自然史(後編). クリーパー 40: 14-16, 35, 46-55. | + | *安川雄一郎. 2007. イシガメ属とその近縁属の分類と自然史(後編). クリーパー 40: 14-16, 35, 46-55. |
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2016年9月8日 (木) 11:37時点における版
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=クサガメ Mauremys reevesii
分類
動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 爬虫綱 Reptilia > カメ目 Testudines > イシガメ科 Geoemydidae > イシガメ属 Mauremys
解説
- 本州や四国,九州,佐渡島,淡路島,隠岐,見島,対馬,壱岐,五島列島に分布.国外では朝鮮半島や中国東南部,台湾に分布.
- 広島県ではダムやため池,河川,水田や用水路などに広く分布している.ニホンイシガメと比較して平地に多い.
- 背甲は黒褐色,発達した3本の隆条(キール)をもち,後縁は鋸歯状にならない.
- 頭部は大型で,側頭部の鱗は小鱗に分かれている.
- 腹甲は周囲が明るい黄色に細く縁どられる.
- 側頭部や頸部(けいぶ)に黄緑色の不規則な線や斑紋があるが成熟したオスでは消失する(オスの成体の黒化).
- そのためニホンイシガメと識別する際,側頭部や頸部の線や斑紋は必ずしも識別形質にならず,甲羅の隆条や後縁部が鋸歯状であるかどうか,頭部の大きさ,腹甲の縁どりなどを総合して同定しなければならない.
- 尾を後方に伸ばした際に総排泄腔が背甲の後縁より外側ならばオス,内側ならばメスだが,幼体では判別が難しい.
- ニホンイシガメと分布が重なる場所では交雑例があることが知られており「ウンキュウ」の名で呼ばれることがある.雑種は稔性(ねんせい)をもち,雑種同士やクサガメ,ニホンイシガメと交雑することがある.
- 日本での本種の化石の出土がないことや最古の文献記録が200年ほど前の九州北部に限定されること,そして近年のミトコンドリアDNAの解析から,本種は韓国や中国といった大陸起源の外来種ではないかと推定されている.
天然記念物・RDB
慣用名・英名・広島県方言
慣用名
- キンセンガメ
- ゼニガメ(幼体のことを指して)
英名
- Reeve's pond turtle
広島県方言
- どんがめ
関連ページ
参考文献
- 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島.
- 千石正一. 1979. クサガメ. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 8-9. 家の光協会, 東京.
- 中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 214 pp. 保育社, 大阪.
- 鈴木 大. 2012. 遺伝的変異から見たニホンイシガメの進化史と日本産クサガメの外来性について. クリーパー 61: 47-57.
- Suzuki, D., Ota, H., Oh, H.-S. & Hikida, T. 2011. Origin of Japanese populations of Reeves' pond turtle, Mauremys reevesii (Reptilia: Geoemydidae), as inferred by a molecular approach. Chelonian Cons. Biol. 10: 237-249.
- 安川雄一郎. 1996. クサガメ. 日本動物大百科 5, pp. 59, 62-63. 平凡社, 東京.
- 安川雄一郎. 2007. イシガメ属とその近縁属の分類と自然史(後編). クリーパー 40: 14-16, 35, 46-55.
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