イヌカキネガラシ

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イヌカキネガラシ Sisymbrium orientale L.

シノニム

その他

  • Sisymbrium orientale Linn.(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)

分類

種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 双子葉植物綱 Dicotyledoneae > アブラナ科 Brassicaceae > キバナハタザオ属 Sisymbrium

解説

  • イヌカキネガラシは,一年生または越年生の草本である.一年生または二年生草本とされる場合もあるが,広島県内での観察結果では8月末にはほとんどの場所で枯死しており,冬場に幼生株が見られる場合があった.植物体は高さ25–85(–100) cm.茎は直立し,ほとんど分岐しないか,中程かやや基部に近い所で数回分岐する.直根が発達する.植物体全体に白くて長い軟毛が散生し,とくに茎の下部で目立つ.葉は互生し,下方から上方に向かって次第に小さくなり,花の近傍では葉が無いか非常に小型になる.葉の頂裂片は鋭頭になることが多いが,根生葉では鈍頭のものもある.表面に伏毛が密生するが,植物体全体的に毛が少ないものもある.下方の葉は鋸歯が存在し,羽状深裂し,長さ8–16 cm,幅2–4 cmになる.上方の葉は側裂片が次第に少なく細くなり,鋸歯が無いか非常に少なく,最上部では矛型または披針形になる.冬場に見られる若い株ではロゼット状になり,葉に鋸歯がほとんどないものもある.3月下旬–7月に開花.花は径8–10 mm,アブラナ科の一般的な形態であるが,やや小型で黄色.花弁は黄色で,萼片は多毛で角状突起はない.花序の先端だけが開花し,開花後すぐに果実が成長する.若い果実は軟毛が生え,斜上し,先端の花よりも上部に達する場合が多い.果実は成熟するとともに伸長し,次第に開出し,花茎と90度弱の角度をなす.成熟すると堅く細長い果実(長角果)となる.長角果は,長さ3–10(–12) cm,太さ0.5–1.2 mmの細長い円柱型で,直線的であるがわずかに湾曲し,先端までほぼ一定の太さ.果実の表面の毛は,成熟後も基部側には残存する.果柄は長さ4–5 mmで,太さは果実と同程度.果実は,成長した植物体では1本の花茎に10–15本が,5–30 mmの間隔で付く.果実は2室からなり,種子は1列ずつ並ぶ.種子は丸みのある楕円体で,大きさにバラツキがあり,成熟すると長さ0.8–1.3 mm.イヌカキネガラシの類似種としては,カキネガラシホソエガラシハタザオガラシがある.ハタザオガラシカキネガラシとは,イヌカキネガラシは上部の葉が矢じり状になる点で区別できる.また,ハタザオガラシは果柄が6–10 mmとイヌカキネガラシよりも長い点,ハタザオガラシの萼片は無毛で,外側の2枚には角状突起がある点も異なる(坪田ほか 2013).

花期

  • 3月中旬〜5月中旬

分布・産地・天然記念物

分布

  • 広島市安芸区瀬野(2008年4月28日)・広島市南区仁保-東雲(2008年4月18日)・廿日市市佐方(2008年4月18日)・広島市佐伯区石内(2009年6月4日)

産地

天然記念物

標本

  • 尾道市防地(sf-5946),福山市草戸町(sf-84)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • イヌカキネカラシ

英名

広島県方言

備考

  • 環境庁コード: 22450
  • 帰化

文献(出典)


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