アキサンショウウオ

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アキサンショウウオ成体(オス).基準産地の近くのもの.(広島県北部; 撮影: 池田誠慈, Mar. 19, 2023)
アキサンショウウオの成体(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jan. 23, 2021)
アキサンショウウオの成体(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jan. 23, 2021)
アキサンショウウオの幼生(上が背面,下が側面).胴体から尾に黒褐色の小斑点が密に現れる.(広島県中部; 撮影: 池田誠慈, May 7, 2016)

アキサンショウウオ Hynobius akiensis

分類

動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 両生綱 Amphibia > 有尾目 Caudata > サンショウウオ科 Hynobiidae > サンショウウオ属 Hynobius > アキサンショウウオ Hynobius akiensis

解説

  • 近年,中国地方のカスミサンショウウオ種群の分類が大変混乱しているため,本サイトでは日本爬虫両棲類学会の日本産爬虫両生類標準和名リストを基準にしつつも,広島県レッドデータブック2021(広島県 2022)の一覧を踏襲する.
  • 本州(愛知県以西)・四国・九州・壱岐島に分布する日本固有種をカスミサンショウウオ1種としていたが,9種に細分類された(Matsui et al. 2019).
  • 広島県では,県南部から中国山地にかけてアキサンショウウオ Hynobius akiensisイワミサンショウウオ Hynobius iwamiセトウチサンショウウオ Hynobius setouchiヒバサンショウウオ Hynobius utsunomiyaorumの4種が生息.
  • 本種は愛媛県と広島県の島しょ部や沿岸部から西条盆地,世羅台地,三次盆地にかけて分布している.
  • 尾は側扁し上下に黄条はない.
  • 非繁殖期に成体を見つけるのは困難.繁殖期のピークは3月.
  • 繁殖期のオスは下あごがわずかに白くなり,総排泄腔周辺が大きく膨らむのでメスと区別できる.
  • ふ化した幼生は秋までに変態する.
  • 基準産地は広島県三次市.広島県西部が昔から安芸の国と呼ばれていたことにちなみ学名と和名が付けられている.
  • 本種も含め,Hynobius属のサンショウウオは幼生や幼体,成体の飼育は難しく,特に飼育下での繁殖は困難である.安易な採集は厳に避けるべきである.

天然記念物・RDB

  • 東広島市天然記念物「アキサンショウウオ」(昭和61年11月5日指定時は「カスミサンショウウオ」として.令和元年6月4日に名称変更.)
  • 環境省RDBカテゴリ:絶滅危惧II類(VU)(カスミサンショウウオとして)
  • 広島県RDBカテゴリ(2003):絶滅危惧II類(VU)(カスミサンショウウオとして)
  • 広島県RDBカテゴリ(2011):絶滅危惧II類(VU)(カスミサンショウウオとして)
  • 広島県RDBカテゴリ(2021):絶滅危惧II類(VU)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

英名

  • Aki salamander

広島県方言

他県では

  • はたけどじょう(奈良県,現在はヤマトサンショウウオを指す)
  • やぶどじょう(滋賀県,現在はヤマトサンショウウオを指す)
  • とことこ(壱岐島,現在は真のカスミサンショウウオを指す)

ギャラリー


備考

参考文献

  • 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島.
  • 松井正文. 1979. 原色両生・爬虫類. 108 p. 家の光協会, 東京.
  • 松井正文・関慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京.
  • Matsui, M., Okawa, H., Nishikawa, K., Aoki, G., Eto, K., Yoshikawa, N., Tanabe, S. Misawa, Y. & Tominaga, A. 2019. Systematics of the widely distributed Japanese clouded salamander, Hynobius nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and its closest relatives. Current Herpetol. 38(1): 32-90.
  • 中村健児・上野俊一. 1963. 原色日本両生爬虫類図鑑. 214 pp. 保育社, 大阪.
  • 大川博志. 2012. カスミサンショウウオ. 広島県の絶滅のおそれのある野生生物, 3版. 97 p. 広島県, 広島.
  • Okawa, H. and Utunomiya, T. 1989. Hunobius nebulosus from Hiroshima Prefecture. Current Herpetology in East Asia. 142-146.
  • 大川博志・宇都宮妙子・宇都宮泰明・内藤順一. 1990. 広島県のカスミサンショウウオ. 比婆科学 146: 49-53.
  • 大川博志・宇都宮妙子・宇都宮泰明・内藤順一. 1998. 広島県のカスミサンショウウオ(2). 比婆科学 188: 13-18.
  • 大川博志・宇都宮妙子・奥野隆史. 1999. 後肢趾が4本のカスミサンショウウオの集団について. 比婆科学 192: 47-52.
  • 大川博志・奥野隆史・宇都宮妙子. 2009. 西日本のカスミサンショウウオの後肢趾の変異. 爬虫両棲類学会報 2009(1): 12-18.
  • 佐藤井岐雄. 1943. 日本産有尾類総説. 536 pp. 日本出版社, 大阪.
  • 宇都宮妙子・宇都宮泰明・大川博志・内藤順一. 1996. 広島県灰塚ダム周辺地域の両生類. 灰塚の自然. 177-215. 建設省.

更新履歴

  • 2019.03.26 ページ作成.

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