植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter528

提供: 広島大学デジタル博物館
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ヒコビアミニレター No. 528(2021年10月7日)

 2021年7月18日の第651回植物観察会は広島県廿日市市宮島で開催された.天気は雨.参加者30名.新型コロナウイルス感染症の影響で中止がつづいていたが,感染者数が少し減少したため実施した.10時に宮島桟橋(宮島フェリーターミナル2階)に集合.当初計画では宮島桟橋から包ケ浦へ行き,帰りは包ヶ浦自然歩道から博打尾を通過するコースを予定していたが,雨のためコースを変更して,宮島桟橋から旧陸軍道路を通って杉ノ浦に行き,そのまま自動車道を帰った.コース説明の後,10時10分に桟橋を出発.要害山のトンネルを通って左折し,旧陸軍道路に入る.旧陸軍道路の碑の近くにあるオガタマノキを観察する.ここのオガタマノキは宮島産の種子に由来する苗木を約20年前に植栽したものである.その後うぐいす歩道を進んで左に逸れる.しばらく石畳を歩き,途中からアスファルトになる.道中,トラノオジソやサカキカズラ,ハスノハカズラ,イヌビワ,ミミズバイ,ダンドボロギク,モミ,ヤマモモ,シロダモ,イヌガシ,ヤブニッケイ,ネジキ,アラカシ,ヒサカキ,カマツカ,アセビ,クスノキ,ウリハダカエデ,アオツヅラフジ,ミツバアケビ,ヤブツバキ,タマミズキ,ウラジロ,イヌビワなどを観察.吉本さんに生薬として利用されるカギカズラの効能などを説明頂く.途中三叉路を杉ノ浦方面に進み,ホウロクイチゴやタラノキ,ハゼノキ,イソノキ(実),ヒメヤマツツジ,アカマツ,ミヤマガマズミ,カクレミノ,ウリハダカエデ(実),ヤブツバキ(実),ネズミモチ,ソヨゴ,サカキ,ヒサカキ,ミヤマガマズミ,クマヤナギ(花),リョウブ(花),カマツカ,カンコノキ,コハシゴシダ,ヒメハシゴシダ,シロダモ(実)などをみる.2018年7月豪雨の復旧工事に伴う緑化場所を観察.宮島では広島県の定める保存管理計画に従い,自然に配慮した緑化が求められる.この場所では,周辺の同様の地形でみられる植生を目標植生として設定して,宮島学園や宮島自然植物実験所が育てた宮島島内に由来する在来樹種の種苗(地域性種苗)を使った緑化が2019年3月から4月に行われ,柵で囲まれた状態で経過観察している.観察会の時点で,ススキや約3 mに近い高さまで成長したウリハダカエデなどが目立つ状態になっていた.周辺で,ウラジロガシやナンキンハゼ,ハスノハカズラ,カナメモチ,アオツヅラフジ,ハンゲショウ,ヌルデなどをみる.12時すぎに杉ノ浦神社に到着,12時15分までトイレ休憩.ハスノハカズラは鹿がほとんど食べないが,吉本さんから中国では漢方に使用するという解説があった.その後,ソメイヨシノやカナメモチ,アオツヅラフジ,ハンゲショウ,ヌルデ,ツルグミ,フジ,アカメガシワ(実),ナツヅタ,クマノミズキ,ニンジンボク(花,植栽),サンカクヅル(実)などが道路沿いでみられた.12時50分頃写真撮影を行い,桟橋で解散した.今回は海抜300 mよりも低い場所の植物を観察したが,市街地周辺はシカの採食圧に耐えられる植物が目立っていた.

(T. Hiromatsu, M. Nakahara-Tsubota & H. Tsubota 記)

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