Trachycystis microphylla

提供: 広島大学デジタル博物館
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コケ図鑑 -蘚苔類写真集-

Trachycystis microphylla (Brid.) Mull.Hal. コバノチョウチンゴケ

Mniaceae チョウチンゴケ科

コバノチョウチンゴケ属

  • ノート
    • 東アジアに分布し,日本では本州〜琉球の低地〜山地の林縁部の土手の土上や岩上に生育する.ときには大木樹幹上にも生える.市街地の人家の庭先やお寺の境内の庭にもよく生育する.
    • 春にいっせいに新しい枝をだし,その枝につく鮮やかな黄緑はみごとである.
    • 苔庭などでよく見られ,京都の円徳院や奈良の依水園のコバノチョウチンゴケの群落はとても美しい.植栽することはないが自然生えのものが大切に育てられている.
  • 生態写真
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春に新しい枝がでて,その黄緑色鮮やかで,昨年でた暗緑色の植物体と対照的.(写真:広島県久井町.4月7日)


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乾燥した状態.(写真:広島県久井町.8月10日)


  • かたち
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胞子体をつけた雌の植物体.茎の先端に雌の生殖器官がつくられると,その付近から数本の枝がでるのが本種の特徴である.胞子体の先端には緑色の蒴(さく)をつけている.この中で胞子がつくられる.ちょうど減数分裂がおこって胞子形成の真っ最中と思われる.(2005年2月25日,広島市)


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葉は披針形であるが,茎の葉は枝のはより幅広い.葉縁は狭く反曲する(背中側に反り返る).葉は非常にもろくて,きれいに横断切片をつくるのがむつかしい.


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葉先は鋭く尖っていて,葉の先端部の葉縁には鋭い鋸歯がある.


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葉の細胞は丸みがあり,中央部分で膨れ,乳頭(パピラ)がある.チョウチンゴケの仲間でこのような乳頭があるものがあつまってコバノチョウチンゴケ属という分類群を形成している.画面の右は葉の縁は背方に曲がる様子を,左には中肋が見える.


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葉の細胞は乳房状にふくれ,また細胞の中ほどで細胞壁は乳頭状に肥厚して突起する.茎につく葉は枝の葉より大きい.


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葉には明瞭な中肋があり,中肋の中心部には薄壁で小型の細胞がある.葉細胞のふくらみと細胞の乳頭状肥厚(パピラ)がよくみえている.

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