青磁

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青磁(せいじ)

  • 中国の漢の時代に生産され始めた磁器の一種で、一般に釉薬が青緑色に発色することからこの名がある。
  • 隋代以前の青磁はやや黄色味が強く、形状なども唐代以降のものとは異なっている。
  • 青磁の生産は唐代中頃以降隆盛を極め、とくに宋代に最盛期を迎えた。日本には9世紀頃から大陸への玄関であった鴻臚館(こうろかん)を通じもたらされるようになり、中国での生産が最盛期を迎えた鎌倉時代~室町時代前半には多くの青磁が輸入され、日本各地に流通している。しかし、こうした中国産磁器を入手できるのは政治的あるいは経済的有力者であり、地方では物流の集積地である都市や居館跡、寺院跡などを中心として出土している。
  • 広島大学東広島キャンパス内の鏡西谷遺跡では鎌倉時代の有力者の居館跡と推定される建物が発見されており、中国同安窯産(現在の福建省)の青磁が出土している。

 

  • このほか、青磁には朝鮮半島で成立した高麗青磁(こうらいせいじ)がある。高麗青磁は9~10世紀に成立した青磁で、中国青磁に直接の起源を持ち、その影響を脱して独自の生産を行うようになったといわれている。
  • 日本でも現在青磁が生産されているが、日本における磁器の生産は豊臣秀吉の文禄・慶長の役の際に朝鮮半島から強制的に連れ帰った陶工や中国の磁器生産工人の関与があったといわれ、江戸時代初め頃に肥前有田付近で始まったようである。