自然界に存在する有機化合物と生物

提供: 広島大学デジタル博物館
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自然界に存在する有機化合物

薬と生物

  • 人類は昔から自然界から薬をみつけ,利用している.その多くが生物に由来する有機化合物であり,自然界にさまざまなものが存在する.
  • 自然界に存在する物質は薬になるものもあれば,毒になるものもある.また,毒になるものであっても量や構造のわずかな違いによって薬として利用できる場合がある.

薬と生物の例

効果のある物質名 元になった成分 用途・作用 性質や発見の経緯など 参考
タミフル シキミ酸 インフルエンザの薬 シキミ酸から複数回の化学反応を経て合成された.シキミ酸はトウシキミ(ダイウイキョウ)の果実を乾燥させた八角(はっかく)に含まれるが,現在ではこれに依らず合成できる. シキミ
キニーネ マラリアの特効薬 熱帯原産のアカネ科の樹木であるキナノキに含まれる成分.マラリアの特効薬として利用された.
アセチルサリチル酸(アスピリン) サリシン 鎮痛剤 古くからヤナギ類の樹皮が鎮痛剤として利用されていた.1828年にヤナギからサリシンが取り出され,薬として利用された.サリシンの副作用を抑えるために,1897年にアセチルサリチル酸が作られた.

有機化合物の利用と生物

  • 薬以外にも,人類は生物に由来する有機化合物をさまざまな素材として利用してきた.

有機化合物の利用と生物の例

物質名 元になった生物や成分 用途・作用 性質や発見の経緯など 参考
ウルシオール ウルシ 漆(うるし) 主成分として漆に含まれる.