紅葉谷川庭園砂防施設

提供: 広島大学デジタル博物館
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紅葉谷川庭園砂防施設

解説

紅葉谷(もみじだに)は厳島神社の背後に位置する谷で,河川としては紅葉谷川とよばれる.紅葉谷川庭園砂防施設が国の重要文化財に指定されている.

紅葉谷では,1945(昭和20)年9月に枕崎台風の影響で土石流が発生した.1948(昭和23)年から2年かけて災害復旧工事が行われ,庭園砂防施設が完成した.復旧工事にあたっては,「岩石公園築造趣意書」が作成され,安全面だけでなく自然環境や景観に配慮した施設として工事が行われた.工事ではコンクリートなどの人工の部材がみえないように配慮することはもちろん,石材などは現地のものを活用し,樹木はできるだけ切らず,庭園師が作庭を手がけるなどされた.

終戦直後の混乱期に,国や広島県,GHQなどの連携で実現した文化財の災害復旧事業としても貴重なものである.

紅葉谷川庭園砂防施設は,その美しさや技術・完成度は専門家の間や海外でも高く評価されている.2020(令和2)年12月に,意匠的価値や歴史的価値の高さが評価され,国の重要文化財に指定された.この指定は,戦後の土木施設では全国初となるものでもある.

岩石公園築造趣意書

  1. 巨石,大小の石材は絶対に傷つけず,また割らない.野面のまま使用する.
  2. 樹木は切らない.
  3. コンクリ-トの面は眼にふれないよう野面石で包む.
  4. 石材は他地方より運び入れない.現地にあるものを使用する.
  5. 庭園師に仕事をしてもらう.石屋さんもノミと玄翁は使わない.

インターネットリソース

引用文献