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提供: 広島大学デジタル博物館
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広島県の地質は,地質構造上,西南日本内帯に属し,古生代,中生代,新生代の地層や岩石が分布するが,とくに注目されるのは,中生代白亜紀の流紋岩類と花崗岩類が広い面積を占めていることである.古生代の地層は県東部によく発達するが,県中部及び西部にも断続的にあらわれている.県東部の帝釈峡では石灰岩が卓越し,粘板岩やチャートも分布する.古生代の火成岩としては,橄欖岩(かんらんがん)や蛇紋岩が県東部の一部に見られる.中生代の地層としては,白亜紀初期の吉舎(きさ)安山岩が県中部から東部に分布し,白亜紀後期の高田流紋岩が県全域に広がる.最も規模の大きいものは,県南部を東西に延びる広島花崗岩である.新生代の地層では,第三紀中新世の塩町層と備北層群が三次,庄原から三原,福山にかけて分布している.第四紀更新世の地層には甲立礫層,尾道礫層,西条礫層などが山間部や丘陵地に見られる.更新世のゾウやシカの化石が瀬戸内海海底から多数採集されている.第四紀には吉備高原や県西部に小規模の鐘状火山や溶岩台地をつくる玄武岩の噴出があった(長谷1982).
 
広島県の地質は,地質構造上,西南日本内帯に属し,古生代,中生代,新生代の地層や岩石が分布するが,とくに注目されるのは,中生代白亜紀の流紋岩類と花崗岩類が広い面積を占めていることである.古生代の地層は県東部によく発達するが,県中部及び西部にも断続的にあらわれている.県東部の帝釈峡では石灰岩が卓越し,粘板岩やチャートも分布する.古生代の火成岩としては,橄欖岩(かんらんがん)や蛇紋岩が県東部の一部に見られる.中生代の地層としては,白亜紀初期の吉舎(きさ)安山岩が県中部から東部に分布し,白亜紀後期の高田流紋岩が県全域に広がる.最も規模の大きいものは,県南部を東西に延びる広島花崗岩である.新生代の地層では,第三紀中新世の塩町層と備北層群が三次,庄原から三原,福山にかけて分布している.第四紀更新世の地層には甲立礫層,尾道礫層,西条礫層などが山間部や丘陵地に見られる.更新世のゾウやシカの化石が瀬戸内海海底から多数採集されている.第四紀には吉備高原や県西部に小規模の鐘状火山や溶岩台地をつくる玄武岩の噴出があった(長谷1982).
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植物の分布は地質の影響が大きく,全国一の規模といわれる県面積の約70%に達する流紋岩類や花崗岩類の分布は,広大なアカマツ林の分布と密接に関係している.これら火成岩類の中に点在する古生層(一部,中生層を含む)との間で,植物相や植生に著しい対比が見られる.県東部には石灰岩地帯や蛇紋岩地帯があって,特殊な植物相や植生が分布している.世羅台地の鐘状火山では,周辺の花崗岩と火山の玄武岩との間で顕著な植物相や植生の差異がある.
    
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