植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter494
ヒコビアミニレターNo. 494(2019年2月19日)
2019年2月17日の第618回植物観察会は,大竹市白石の大河原山で行われた.参加者44名.10時にJR大竹駅前に集合,吉野さんによるルート説明の後,出発.市街地を抜けて,大瀧神社に向かう.神社手前の溝で,エビモ,オオカナダモを見る.大瀧神社では照葉樹林がよく残されており,ヤマモモ,クロキ,アラカシ,シリブカガシ,タブノキ,シャシャンボ,コバンモチ,シイモチなどを見る.石垣にトキワトラノオ,林床にベニシダ,サイゴクベニシダ,ツワブキなどを見る.エビネが多数植えてある.ここに生育するイナコスズとされているササは,斉藤先生によれば,桿鞘に長短の毛があることからキリシマザサではないかとのこと.神社を下り,大河原山の登山口に向かう道からは,山腹に竹林の拡大している様子がうかがえる.登山口付近でシロバナタンポポ,タンキリマメを見る.白い花をつけたウメを見ながら,墓地の横を通って竹林に入る.多くはモウソウチクだが,1か所,枯れかけた穂の付いたマダケも見られた.竹林の中は他の植物が少ないが,アラカシ,シリブカガシ,アベマキなどの高木が点在する.林床にフモトシダ,ベニシダ,マルバベニシダ,アマクサシダ,ハカタシダ,オニカナワラビ,キジノオシダ,オオキジノオなどのシダを見ながら,松村さんを偲ぶ.他にもヤブラン,ジャノヒゲ,コクラン,アリドオシ,オオアリドオシなどを見る.登山道は,段々畑の跡が残る竹林の中をジグザグに上がっていく.竹林を抜け,海抜140mあたりから,アセビ,コバノミツバツツジ,ネジキなど尾根筋の植物が多く見られるようになり,コシダ,ウラジロが茂る.180mで尾根の林道に出る.ため池をつぶす工事が行われ,林道の元町方面への下りが通行止めになっている.展望広場からは,市街や瀬戸内海が一望でき,眼下に大瀧神社が見える.なだらかな尾根は若い雑木林で,一部ヒノキの植林がある.花をつけたコバノミツバツツジがあった.林道を歩き,山頂広場で昼食をとる.少し北側にも展望広場があり,東側の展望がよい.山頂付近では,クロモジ,タカノツメ,コシアブラ,クロバイ,ザイフリボクなどを見る.予定ではここから北に進み,顕徳寺・大森神社へ下ることになっていたが,急斜面で道が悪いため,同じルートで引き返す.途中で,ため池跡の湿地を観察する.堰堤が切り開かれ,排水溝をつくっている途中であったが,その背後に湿地が残っていた.カモノハシ,アブラガヤ,イ,フトイ?など大形の草本と,キツネノボタン(花),ツボスミレ(花)や,コケオトギリ?,ミズユキノシタ,コウガイゼキショウ属などの芽ばえを見る.他にもいろいろな種の生育が期待されるが,排水溝が完成すればこの湿地は消滅するかも知れない.一同は尾根をあとに,各自のペースで下山する.15時過ぎに大竹駅で解散した.
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