弥山原始林の植物と植生

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海から望む広島県廿日市市宮島 Miyajima Is., Hiroshima, SW Japan(撮影: 坪田博美; May 21, 2007)

弥山原始林の植物と植生

宮島のシンボルであるモミジ(モミジは広島県の県木,県花である)はイロハモミジオオモミジであるが,それらは本来宮島に自生しない植物で,植栽されたものである.紅葉谷公園のモミジには,その他トウカエデのような外国のカエデも植栽されている.ウリハダカエデは比較的寒い地域に分布するが,宮島に自生している. 弥山原始林は弥山(529.8 m)の北斜面一帯の森林を指しており,宮島では最も自然の保たれてきた所である.弥山原始林の植生は大まかに3つの帯に分けられる.(山麓部の緩斜面,海抜300 mより低い山地,300 m以上の山地).

1. 山麓部

宮島では,山麓部の緩斜面にはクスノキ・クマノミズキ群落が,大元公園や紅葉谷公園付近ではモミ-ミミズバイ群落が見られる.    モミ、クスノキ、カヤ、ミミズパイ、カンザブロウノキ、シキミ、アセビ、イヌガシ、シロダモ、タイミンタチバナ、ホウロクイチゴ、ハスノハカズラ、イズセンリョウ、ヒメイタビ、キッコウハグマ

2. 海抜300 m以下の斜面

海抜高300m以下の斜面にはコジイ群落が発達する。夕イミンタチバナ、シリブカガシ、トキワガキ、ウパメガシ、ミミズバイなどは300m以下の所に出現する。   ブナ科(コジイ、シリブカガシ、アラカシ)、ツバキ科(ヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ.モッコク)、クスノキ科(シロダモ、イヌガシ、ヤブニッケイ)、ハイノキ科(クロキ、クロバイ、ミミズパイ、カンザブロウノキ)、モクセイ科のネズミモチ、バラ科のカナメモチ、シ キミ科のシキミなどの照葉樹が豊富であり、サカキカズラ、テイカカズラ、マツブサ、ウラジロマタタビ、ミツバアケビ、サンカクヅルなどの木生つる植物が多く見られ、林床  にはペニシダなどの陰生植物がみられる。

3. 海抜300 m以上の斜面

海抜300m以上の斜面にモミ・アカガシ群落が発達する。アカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、ハイノキ、ミヤマシキミなどは主として300m以上の山地に見られる。   モミ、ツガ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、カゴノキ、イヌガシ、シロダモ、ヤブニッケイ、シキミ、ソヨゴ、クロバイ、ハイノキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、サカキなどが出現し、林床に、ミヤマシキミ、サンヨウアオイ、ベニシダなどの陰生植物が見られる。

4. 二次林

弥山原始林内の二次林としてアカマツークロパイ群落がある。 アカマツニ次林にはクロバイ、ヤブツバキなどの照葉樹の他にネジキ、リョウブ、ウリハダカエデ、コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹が混生し、林床には陽生植物のコシダやウラジロが密生することが多い。ネズ、ヤマツツジ、ススキ、ガンピ、ミヤマママコナなどの陽生植物を持つ型とイヌガシ、シロダモなどの陰牛植物を持つ型に分けられる。

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