冠山産安山岩
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冠山(かんむりやま)産安山岩
- 冠山産安山岩は山口県に県境を接する冠山(広島県廿日市市吉和)を火山活動によって流出した安山岩の総称である。
- 肉眼的にはいくつかの種類に細分することが可能であり、石材の原産地分析によると、冠高原の南側一帯(飯山)、冠高原、冠高原の東側の頓原付近(冠山東)のおおきく3ヶ所に分かれるようである。
- 石器に利用される原材はいずれも転石であり、安山岩生成地点での露頭は確認されていない。
- 冠山産安山岩は旧石器時代~縄文時代を中心に弥生時代まで継続的に利用されている。旧石器時代では後期旧石器時代の初め頃からすでに利用されており、直線的に約50km離れた西条盆地まで運ばれている。
- 後期旧石器時代後半にはさらに広い範囲で利用されているようで、半径100km前後の範囲で主要な石材として利用されていたと推定される。
- 縄文時代でも早期(約8000年前)頃までは旧石器時代同様に広い範囲で利用されているようである。しかし、前期(約6000年前)頃から香川県金山産安山岩の主要な利用圏が拡大するようになり、中国地方西部でも広い地域で石材に占める金山産安山岩の割合が高くなっている。
- 肉眼的な観察であるが、西条盆地でも金山産安山岩の割合が増加しており、冠山産安山岩の主要な利用圏が急速に縮小していったようである。交易網の整備によって目的に応じた石材が広範な地域に流通するようになったと考えられる。