トビズムカデとアオズムカデの見分け方
提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動トビズムカデとアオズムカデは以下のような特徴で見分けることができる。
- 頭部の色の違い トビズムカデの頭部は名前の由来の通り鳶色(とびいろ)であるが、アオズムカデの頭部は胴体と色が変わらない.ただし,トビズムカデの幼体も頭が鳶色でない場合があるため,これを基準にすると間違った同定となる場合がある.
- 第20歩脚,曳航肢(せんこうし,主に威嚇に用いられるムカデの尾部にある長い脚)の1個前の脚の踵に当たる位置にある毛のように小さい棘(蹴爪という)がトビズムカデにはあるがアオズムカデには存在しない.
- トビズムカデは明確にアオズムカデよりも身体が大きい.トビズムカデは最大全長15-20 cmと大型であるが,アオズムカデは8-12 cmと比較的小型である.これもトビズムカデの幼体と混同されやすい部分である.
写真
トビズムカデ
トビズムカデ(広島大学東広島キャンパス)
和名
学名
- Scolopendra mutilans
分類
- オオムカデ科 Scolopendridae
分布
- 本州・四国・九州・沖縄
概要
- 夜行性の節足動物。日中は主に朽木の裏などの日の当たらない場所にいる。
- 成体は全長10~15cmにもなる、本州最大のムカデである。
- 赤い頭部に黒い胴体、黄色または赤色の脚が特徴的。
- 顎肢と呼ばれる、毒腺を伴った牙のような機能を持つ脚を持ち、それを用いて捕食行動、防衛行動を行う。
- 東広島キャンパスでの個体数は多い。
食性
- 肉食傾向の強い雑食性。
- コオロギ、カエル、ネズミなどの小動物の捕食や死骸を漁る。
- 樹液をなめているところや、植物の実を食べているところの目撃例もある。
- 一度も食事をとらないままでも1ヶ月以上生き延びることができる。
- 捕食の際には顎肢を用いる。目が非常に退化しており、明暗を感じ取る程度にしか使うことができないため、主に接触刺激によって獲物を認識し、獲物と認識した瞬間に顎肢で噛みつく。
- 力が強く、貪欲であるため、捕食中にさらに捕食対象となる生き物が接近してきた際には、空いている肢で抑え込むようにしてキープしておくといった離れ業も行う。
繁殖
- 卵が乾燥に弱いため、繁殖期は5-6月の梅雨の時期。十分な湿度があり、かつ暗所などの目立たない場所を選んで産卵を行う。
- メスは卵を背中に乗せるようにして、40-50個の卵を産む。
- 産卵後に卵を囲み、舐めることによって卵を乾燥から守る。
- 卵がかえり、自分で餌をとれるようになるまでの間、保護し続ける。その間、食事は行わない。
- 哺乳類などとは異なり、保護し続けるだけであり、餌を与えるような行為は行わない。
- この保護の過程で外敵からの攻撃を受けた場合や、湿度が足りなくなるなど繁殖に適さない状況になった場合、自身の産んだ卵を食べる。産卵は非常にエネルギーを使う行為であるため、繁殖に失敗すると判断した際に消費したエネルギーを補給するための行為だと考えられる。
備考
- 寿命は7年ほど。
- トビズムカデの解説ページ
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