ソテツ

提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動

広島大学 > デジタル自然史博物館 > 植物 > 郷土の植物 > 維管束植物 > ソテツ | 広島県の植物図鑑 / 和名順

ソテツ Cycas revoluta Thunb.

Cycas revoluta Thunb. ソテツ(広島県廿日市市宮島町; 撮影: 坪田博美, Dec. 26, 2018)

シノニム

分類

種子植物門 Spermatophyta > 裸子植物亜門 Gymnospermae > ソテツ科 Cycadaceae > ソテツ属 Cycas

解説

  • 常緑亜高木.
  • 雌雄異株.
  • 幹は太く,あまり分枝しない.根元から新たな幹が生じ株立ちになることが多い.樹皮には葉跡が残る.
  • 葉は羽状複葉で,0.5-数 m.先幹の先に輪生してまとまる.若い葉は毛があるが,成葉になると毛は脱落する.小葉は互生し,片側25片以上あり,先端は鋭く尖る.葉柄部分ではトゲになる.
  • 根には藍藻類(シアノバクテリア)が共生した根粒があり,窒素固定能がある.
  • 種子は成熟すると種皮外層(外種皮)が白色を帯びたオレンジ色から朱色になる.さらに成熟して乾燥すると種皮外層が裂け,その内側にイチョウギンナンを大きくしたような種子が現れる.

花期

  • 広島県内では開花するが,種子は成熟しない.

分布・産地・天然記念物

  • 日本列島の南部の暖地に自生
  • 広島県内では沿岸部,島嶼部に植栽される.
  • 宮島の砂浜に枝が漂着して一時的に生育していた(関ほか 1975).
  • 高知県庁前の駐車場に大きな株があり,よく種子をつける.

天然記念物

  • 県天「鹿川のソテツ」(能美町,県内最大,幹囲6.2 m)
  • 県天「川尻のソテツ」(川尻町)
  • 県天「安国寺のソテツ」(福山市)
  • 廿日市市天「ソテツ」
  • 呉市天「広青年教育センターのソテツ」
  • 大崎町天「ソテツ」
  • 因島市天「明徳寺のソテツ」

標本

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • 蘇鉄

英名

  • sago cycad
  • sago palm
  • king sago palm

広島県方言

備考

  • 環境庁コード: 08720
  • 植栽・逸出
  • 園芸や観賞用に植栽する.
  • 種子は台湾などの海外へ輸出される.
  • 有毒であるが,九州や沖縄では救荒植物として利用された.
  • ソテツに精子があることを池野成一郎博士(当時,農科大学(農学部)助教授)が発見した.JPRの明治29年11月20日刊行の植物学雑誌第119号に掲載.(長田; 加藤)

文献(出典)

  1. 広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(編). 1997. 広島県植物誌. Pp. 832. 中国新聞社, 広島.
  2. 堀川・鈴木 1963
  3. 関ほか 1975
  4. 鈴木 1972
  5. 鈴木 1985b
  6. 長田敏行. ソテツの精子の発見. http://bsj.or.jp/JPR/icho.html
  7. 加藤雅啓. 精子発見とその意義. In 大場秀章(編), 日本植物研究の歴史, 小石川植物園300年の歩み. http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1996Koishikawa300/03/0300.html

広島大学 / デジタル自然史博物館 / 植物 / 郷土の植物 / 維管束植物 | 広島県の植物図鑑 / 和名順 にもどる