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基準標本(タイプ標本)について

基準標本(タイプ標本)の学術的意義

生物を研究対象とする生物科学では,その研究成果の公表にあたっては,取り扱った生物がいずれの生物群に所属するものであるかを明記するのが当然のことである.しかし,各国,各人が独自に固有の言語,記述方法を用いてそれを表現したり,あるいは各論文中でその都度詳細な形態の記述をおこなうことは,情報伝達の正確さ,速さ,量などの面でたいへん不都合である.学名 (scientific name) は生物の実体を伝えるための世界に共通するもっとも簡便かつ有効な手段,方法であり,自然科学の所定の手続きを経て認知されたあらゆる生物に与えられている.植物の場合,この命名の手続きは,国際植物命名規約(International Code of Botanical Nomenclature: ICBN と略される)に従ってなされ,正式に記載された属 (genus) あるいはそれ以下のランクの分類群の名前には,それに対応する基準標本がある.すなわちこの基準標本が属とか種などの分類群の名前の基準となる(しかし,当該分類群の中庸な形質を有しているというものではない).

基準標本(タイプ標本)の種類

蘚苔植物の基準標本には下記に示すような,質的に異なるいくつかの種類が知られている.基準標本の学術的意義とその種類について以下に解説しておく.

  • Holotype(ホロタイプ,正基準標本):原著者(新分類群を記載した研究者)が命名法上のタイプとして使用した,あるいは指定したただ1つの標本が該当する.
  • Isotype(アイソタイプ,副基準標本):ホロタイプの重複標本で,ホロタイプをいくつかに分割した場合,もとの標本(ホロタイプ)以外の分割物.
  • Syntype(シンタイプ,等価基準標本):原著者が新分類群を記載したときに,ホロタイプの指定をせずに,研究に使ったものであるとして引用された2個以上の標本があるとき,そのいずれもがこれに該当する.あるいは単に「タイプ」として指定されたがそこに2つ以上の標本があるときはそのいずれもがこれに該当する.
  • Paratype(パラタイプ,従基準標本):ホロタイプでもアイソタイプでもシンタイプでもないもので,原著者が新分類群を記載したときにプロトローグの中に引用した標本.プロトローグというのは学名を正式発表する際に,その学名に伴ったすべてのもので,それには識別文,記載文,図,参考文献,異名,分布データ,引用標本,議論,コメントが該当する.
  • Lectotype(レクトタイプ,選定基準標本):著者がホロタイプを指定しなかった場合あるいはホロタイプが失われた場合に,その著者が研究に使用した原資料のうちのから命名法上のタイプとして選びだしたただ1つの標本をいう.
  • Neotype(ネオタイプ,新基準標本):新分類群が記載されたときに使われたすべての資料が失われた場合に,命名法上のタイプとしてあらたに選定された1つの標本.
  • Topotype(トポタイプ,同地基準標本):ホロタイプ標本と同じ場所で,異なった採集者,年月日に採集された標本,ホロタイプと原記載とを比較して同一種と確認された標本であり,分類学的研究には分類群を認識する上で参考となる標本である.しかし,命名上の基準標本ではない.

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