コケ植物と「苔」

提供: 広島大学デジタル博物館
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コケ植物と「苔」という言葉

古代中国

紀元前122年,中国の淮南子に「苔」の字が見られる.また,中国最古の字典とされる「説文解字」(100年頃)には「苔」は古くは「#」が用いられたとある.漢詩にあらわれる「苔」の文字の使われた例をみると,長干の行(ウタ)に『一一に緑の苔生いぬ』『苔は深くして掃う能わず』(李白),『また照す青苔の上』(王維)がある.このほか,苔砌(タイセイ)(苔むした石畳),苔泉(苔むした泉),苔径(苔むした小径のことで杜甫の詩にも見られる),苔茵(タイイン)(苔のしとね.苔の布団),苔莚(タイエン)(苔のむしろ),苔階(タイカイ)(苔のきざはし,苔の階段),莓苔(マイタイ),苔青(タイセイ)(苔の青),苔衣(コケゴロモ),碧苔(ヘキタイ)(青々とした苔)などがある.

日本

わが国では,本草和名に「垣衣,一名青苔衣,」の記述や,和名抄にも「苔」や「古介」がみられる.和訓栞に「木毛の義ナルベシトアリ,古クハ,木ノこけヲ云ヒシガ,多ケレバ木ナルガ元ニテ,他ニモ言ヒ及ボシ,スベテ毛ノ如ク生エ,ツキタルモノノ総名トナレルナラムト云フ」とある.

文献

  1. 荒野智雄 1974:日本の古典にあらわれるコケの解釈についての私見.日本蘚苔類学会報 1: 95-96.

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