アカマツ 宮島の植物と自然
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アカマツ(メマツ)Pinus densiflora Siebold & Zucc.
分類
マツ科 Pinaceae,マツ属 Pinus
解説
高さ5-30 mになる常緑(じょうりょく)の針葉樹(しんようじゅ).樹皮(じゅひ)が根元(ねもと)は赤灰色に,それより上部は赤褐色になり,亀甲状(きっこうじょう)に割(わ)れて薄(うす)く剥(は)がれる.葉は短枝(たんし)の上に2本1対(つい)になり,葉質は柔(やわ)らかく,横断面(おうだんめん)が半円形(はんえんけい)で,中央に維管束(いかんそく)が2本ある.花期は4月下旬-5月下旬で,クロマツよりもやや遅(おそ)い.風媒花(ふうばいか)で,花期には大量(たいりょう)の花粉が飛ぶ.開花後1年半かかって種子(しゅし)が成熟(せいじゅく)し,秋に毬果(きゅうか)(マツカサ)の鱗片(りんぺん)が開いて羽(はね)の付いた種子が散布(さんぷ)される.北海道南部から本州,四国,九州,朝鮮半島,中国東北部に分布する.陽樹(ようじゅ)で,二次林(にじりん)を構成(こうせい)する樹種(じゅしゅ)であり,乾燥(かんそう)した尾根(おね)などの痩(や)せ地(ち)でも生育する.伐採跡地(ばっさいあとち)や崩壊地(ほうかいち),山火事(やまかじ)跡地などの裸地(らち)に他者(たしゃ)に先駆(さきが)けて侵入(しんにゅう)する先駆(せんく)(パイオニア)植物で,光が当(あ)たらないと発芽(はつが)・生長しない.同じく陽樹のコバノミツバツツジなどのツツジ類と一緒(いっしょ)に出現(しゅつげん)する.マツタケ菌(きん)と共生関係(きょうせいかんけい)にある.宮島では,駒ヶ林(こまがばやし)などの岩場(いわば)が生育適地(てきち).マツ類は1 年で一節(ひとふし)ずつ成長するので,基部から節(ふし)の数を数えることでおおよその樹齢(じゅれい)が分かる.和名は樹皮が赤いことから.マツという和名の植物はなくマツ類の総称(そうしょう).
「宮島の植物と自然」内のページ
「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.
- 94-95 pp.
引用文献
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