カゲロウ目 Ephemeroptera
(ephemoro-はかない -pteraはね Mayfly)
カゲロウの仲間は、かわむしの代表的グループの1つです。
世界で約3000種、日本では100種以上とされていますが、
まだまだわかっていない仲間も沢山いるようです。
日本にすむカゲロウの多くは年2世代
(一年間で卵−幼虫−成虫を2回くりかえす)で、
春から秋にかけて成虫が見られます。
特に5月ごろに多いのでMayfly(May 5月に fly
飛ぶ虫)といわれています。
幼虫の特徴は以下のようなものです
○1尾が3本(ヒラタカゲロウ科など2本のものもいる)
○2肢のツメが1本
○3えらは毛状か葉状で腹部の横に5〜7対
カゲロウの主張 〜アリ地獄じゃない!〜
カゲロウと聞くとまず「アリ地獄」を思い浮かべる人も多いと思います。
アリ地獄は「ウスバカゲロウ」という
アミメカゲロウ目・ウスバカゲロウ科の陸上性昆虫の幼虫で、
水生昆虫のカゲロウ(カゲロウ目)とは全く別の昆虫です。
分類学的に見れば、川虫のカゲロウよりは、
ヘビトンボ(同じアミメカゲロウ目)に近い仲間です。
適材適所? 〜体型の妙〜
それぞれの川虫は、自分に適した場所で生活しています。
その中でカゲロウの仲間は、
住む場所の状況の違いによって、異なる体型をしています。
流れの速い場所の石の上では、水の影響を受けにくい
、平べったい体型のヒラタカゲロウの仲間が生活しています。
また、比較的流れのゆるやかな場所では、
泳ぎに適した流線型(新幹線のように角がなく丸っこい)の体をした
コカゲロウの仲間が、砂地では肢がショベル
(陸上のオケラに似ている)のようになった
モンカゲロウの仲間が砂にもぐって生活しています。
亜成虫 〜大人へのステップ〜
昆虫は幼虫から成虫になる場合、
蛹になる完全変態と、蛹にならず直接成虫になる
不完全変態という二つの方法をとります。
カゲロウの成虫は、蛹にはなりませんが昆虫の中では
唯一「亜成虫」という特殊な段階があります。
そして、数時間から一日ほどでもう一度脱皮してから成虫になります。
形はほぼ成虫と同じですが、成虫と比べ前肢が短い、
翅がくすんだ半透明をしているなど、異なる点がいくつかあります。
亜成虫は子供から大人へ、水中から陸上へという、
劇的な変化に対応するための大切なステップなのかもしれません。
スリップ注意!! 〜カゲロウ大発生〜
カゲロウの成虫は時として大発生し、
人間生活に影響を及ぼす場合があります。
オオシロカゲロウは夏の終わり頃、
一週間ほどの間に河川の中・下流域で集中して羽化します。
大発生したカゲロウは道路や街灯に集まり、その下の道に厚く降り積もります。
その姿はまるで雪が降るようだと言う人もいます。
しかし積もったカゲロウによって車のスリップ事故が起こることもあるそうです。
島根県を流れる江の川沿いの道路には
「カゲロウ発生中!スリップ注意!」という看板が立っているほどです。
現在では一箇所に集まらないように
この時期だけ街灯を消すなどの対策も行われています。
えふぇめろぷてら 〜はかない命〜
カゲロウの幼虫は様々な体型をしていると前述しましたが、
成虫の体型はどれも似ています。
美しく透き通った翅、か細い肢・・・。
成虫はとても繊細で今にも消えてしまいそうな印象を受けます。
そして、実際に成虫になって卵を産むと、
たった数日間という短い一生を終えてしまいます。
そんな理由から、カゲロウは昔からはかないものの象徴として
何度も物語にも登場してきました。
学名の「ephemoro-」とは、
ギリシャ語の「1日限りの はかない」という意味の言葉からつけられました。
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