藤岡一男・高橋英太郎氏は,山口県大嶺炭田萩嶺炭鉱の三畳紀の地層からHepaticites oishiiを記載・報告している.
この化石は,苔類のフタマタゴケMetzgeria属のなかまに類似する体制をもつもので,体は葉状で,幅3-4 mmで,数回二又分枝をし,明瞭に発達した中央脈(腹面にふくらみ,仮根がみられる)をもっている.
日本ではこのほかにMarchantites yabeiというゼニゴケ属のコケに類似の化石がジュラ紀〜下部白亜紀の地層からみつかっている.
|
Marchantites yabei (Thallites yabei).
白矢印の示すところに,中肋をもち二叉分枝する葉状体が黒く見える.
福井県大野郡和泉村後野の,手取層群(石徹白亜層群)伊月頁岩砂岩層から発掘された.この地層は,1億4千万年前(白亜紀初頭)の,おそらく河口付近の河川の氾濫原に堆積した地層と考えられる.山田敏弘氏(東京大学)採集.
|